「この一日に賭けている」Kids com Team KCMGからテスト参加の関口雄飛が明かすスーパーフォーミュラ復帰願望。好調8号車ドライブを自ら志願
12月11~13日に鈴鹿サーキットで開催される全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)の公式テスト/ルーキーテスト。シーズンオフということで各チームからさまざまなドライバーが参加することになっており、Kids com Team KCMGは3日間のテストで5名を起用する。そのなかで今回のテストでいつもとは違う“3つめ”の感情を持って参加するのが、関口雄飛だ。 【写真】Kids com Team KCMGのウェアを着用する関口雄飛/2024スーパーフォーミュラ公式テスト/ルーキーテスト スーパーフォーミュラ通算7勝を誇る関口は、2016年のデビューイヤーと2021年にランキング3位を獲得する活躍をみせた。しかし、新車SF23が導入された2023年は苦戦を強いられ無得点に終わり、長年在籍したTEAM IMPULから離脱。2024年はKids com Team KCMGのチームコーディネーター兼リザーブドライバーを務めていた。 そんな関口が、今回およそ1年ぶりにスーパーフォーミュラをドライブすることになり、Kids com Team KCMGから初日の2セッションに出走する。チームコーディネーターでもある関口自身がマシンをドライブする効果について、以下のように語る。 「僕は今年一年間、チーム力を向上させるため『少しでもできることがあれば』ということで裏方からサポートしていました。今回のテスト参加はその役割と同じで、レギュラーとは異なるドライバーがマシンに乗ることで、セッティング面で違った意見を感じることができると思います」 「また、僕も(スーパーフォーミュラには)昨年のテスト以降一年間乗っていないので、多少感覚を忘れている部分があります。そこについて、今回ふたたび乗ることで、ドライバーやエンジニアリング面での的確かつ良いアドバイスを出せるようになるはずです。やはり乗らない期間が続くと感覚はどんどんと忘れていってしまうので、今回乗ることで過去と現在のイメージを近づけることもできます」 ここまでチームコーディネーターとして、チームのためになる利点をふたつ挙げた関口。ただ、今回のテストには通常時とは異なる“3つめ”の感情が芽生えたという。 「そのふたつに加え、今は『自分のために(SFドライバーとして)復帰したい』という気持ちがすごくあります。今回僕が乗るのは初日の2セッションのみなので、両方でトップタイムを記録するつもりの準備と心意気をしていますし、めちゃくちゃこの一日に賭けている部分もあります。もう精一杯走りますよ」 ■KCMG土居代表も関口を応援「しっかりとこのチャンスを使ってほしい」 レーシングドライバーとして自身の胸の内と願望を語った関口のテスト参加は、7号車ドライバーの小林可夢偉がルワンダで開催されるFIA(国際自動車連盟)の年間表彰式に参加するのが理由のひとつにあるが、Kids com Team KCMGの土居隆二代表兼監督は、関口が「かなり勝負を賭けている」ことも感じている。 「今回は関口選手から『ぜひ評価をしてください』ということに加え、今季活躍した『(福住)仁嶺の8号車に乗りたい』ということを言ってきました。もちろん僕も『良いよ』と言いました。それは、関口選手は現在もスーパーGTに参戦していますけど、日本でいちばん速いクルマと言ってもいいスーパーフォーミュラでも『まだまだアイツは速い』と僕は思っています」 「今回は、関口雄飛というレーシングドライバーが“自分のブランド”を宣伝する最高のチャンスだと思っています。だからこそ、このチャンスをしっかりと使ってほしいです。昨年のテストでは最後のアタックで飛び出して(※セッション2アウトラップのデグナーでコースオフしフロントからバリアにヒット)しまい、本人は『こんなことをやっているようじゃ俺はダメだ』と戒めていましたけど、今年はしっかりとアタックしてくれるはずです」 土居代表によると、今回のために関口はドライビングコーチに佐々木大樹を招聘したほか、レーシングカートで活躍する息子をテストの現場に呼んでおり、目の前で父親の走りを見せるほど気合が入っていることを明かした。 最後に土居代表は「テスト初日は関口が8号車に乗るので、今季8号車で好調だった仁嶺が7号車(小林可夢偉車)に乗り、まずは同じセットアップで2台を比較します。ベテランふたりの走行は楽しみです」と語った。テストに賭ける関口のタイムと順位、そして2台の比較など、さまざまな意味でKids com Team KCMGに注目が集まる。 [オートスポーツweb 2024年12月11日]