「奄美大島に移住」57歳の彼が進める“趣味の終活”。海の宝石「ウミウシ」に魅了、“終活”しようと思った理由
「ウミウシに関することならと、頑張っていろいろ引き受けたこともありました。でも、考え直したんです。仕事では嫌なことがあっても折り合いをつけねばなりませんが、趣味で無理することはないと。そこで、何年か前に掲示板は閉じて、いまは撮影に専念しています」 2007年には今本さんの写真がプロのカメラマンの目に留まり、ウミウシ写真集『ウミウシ 不思議ないきもの』を上梓。その後も2冊、写真集を出した。 「最初の一冊が版を重ねたので、その印税を撮影機材のバージョンアップや予備機、ビデオ用撮影システムに充てることができました。総額100万円ぐらいでしょうか。水中撮影機材は高価なのでありがたかったですね。その機材を使って撮った動画がDVDとして販売もされました」
■給料は下がったが、働きやすい環境 先に紹介したように、今本さんは奄美医療生協のSEとして働いている。病院や診療所、老健施設など組合の9事業所にある300台以上のパソコン、プリンターやネットワーク機器を1人で管理し、日常の修理やメンテナンスを担当している。小規模な臨床検査システムや診療支援システムの開発に取り組んだこともあった。 勤務時間は平日の8時半~17時と、月2回の土曜日の8時半~12時半。平日は「17時1分にタイムカードを押して速攻帰る」が、システムトラブルやシステム導入のときには残業や休日出勤もいとわない。
「僕が残業するときは、本当に必要なときです。そうした例外を除けば、基本的に残業はなく、有休も取れます。定時に帰って文句を言われることはありません。給料は関東の会社にいるときより大幅に下がりましたが、本当にいい職場だと思っています」 今本さんはいま、定年後の生活を見据えて趣味の「終活」を始めている。今本さんの両親は60代でピンピンコロリで他界した。自分もそれほど長生きしないかもしれないと考える今本さんは雇用延長せず、60歳で定年退職して、65歳までは集中して海に潜ろうと考えている。