消えてゆく本屋さん 国も警鐘鳴らす 背景には「薄利多売」な慣習も
メジャーなものからニッチなものまで、多種多様な本が一堂に会する書店が、人々に与える影響力は計り知れない。教育や文化のほか、世界が注目する日本のコンテンツ力の強さにも影響を与えているのは事実だ。
だが、そんな書店の苦戦を見るにつけ、作家として「いい小説を書いて業界を盛り上げます」としか言えないジレンマをずっと感じてきた。そこで読者に本を届ける最前線に立とうと、3年前に閉店が危ぶまれた大阪府箕面市の書店を買い取りリニューアルオープンさせた。昨年は佐賀市のJR佐賀駅構内に書店を復活。今春には東京・神保町にシェア型書店を立ち上げた。
周囲を見渡しても、従来型の書店にシェア型書店、移動式書店、スポーツジムやカフェとコラボした書店など、現在日本の書店文化はかつてないほど多様化している。ここまで多様性に富んだ書店を持つ国は、世界各国を見渡してもなかなかないだろう。「書店を残したい」というコアなファンが多いのも一つ。
逆に言えば、旧態依然とした出版流通構造が変わらないため、書店があの手この手で生き残らざるを得なくなった結果だと思う。業界が健全に回っていくためにも、構造改革の英断が必要だ。(横山由紀子)