【元警察官】が答える!「クマとゴッツン!どうしたら?」……物損事故として処理を進めるのが◯
ぶつかった動物が生きていた……どうするのがベスト?
クマ・シカなどは生命力が強く、車両とぶつかったとしても多くの場合は生存しています。とはいえ、時速数十キロのスピードで走る1~2トンもある鉄の塊とぶつかれば、動物も無傷ではありません。出血や骨折などでその場から動けなくなっていることもあります。 ぶつかった動物が生きていた場合、そのまま放置すれば後続の車両が急ハンドルを切って避けようとして事故を起こしたり、あるいはそのまま動物を轢いて追い打ちをかけてしまったりするかもしれません。可能であれば、負傷した動物を道路の外へと移動させてあげてください。 ただし、生命の危険を察知した動物は思いがけない抵抗をみせることがあります。親切心から近づいても攻撃を受けるかもしれません。また、野生動物はワクチンを接種したペットとは違い、人体に悪影響を及ぼすウイルスなどを保持している危険もあります。わずかにでも危険を感じたなら、近づくのは避けてください。 こんなときは、110番で警察に通報するか、または局番なしで「#9110」の道路緊急ダイヤルに電話をかけて対応を任せましょう。
通報を受けた警察は、動物をどうする?
警察に「動物とぶつかった」と通報した場合、警察官が現場に臨場して事故処理をおこないます。運転者としては、警察官からの求めに従って運転免許証などを提示するだけです。 心優しい運転者なら「警察が動物を助けてくれる」と期待するかもしれませんが、実は警察も積極的に動物を救護してくれるわけではありません。後続事故を避けるために動物を路肩などに移動させることはありますが、野生動物であれば警察署などに連れ帰って手当をするといった対応はしないのがセオリーです。 また、すでに動物の生命が途絶えていたときも、警察が引き取って処理するのではなく、国・都道府県・市区町村といった自治体の道路管理者に連絡して処理を任せます。 ドライに感じてしまうかもしれませんが、動物の死骸は廃棄物にあたり警察では適正に処理できないので、道路管理者に任せるしかないというのが現場の実情なのです。 今後、さらに都市化が進み、森や林に動物の食料が減ってしまえば、クマやシカなどの動物が市街地に出没する機会が増えてくるでしょう。もしぶつかってしまった場合は、まず慌てずに後続車との事故を起こさないよう危険防止の措置をおこない、安全を確保したうえで警察に通報してください。 レポート●鷹橋公宣 鷹橋公宣(たかはし きみのり) 元警察官・刑事のwebライター。 現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、「note」では元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。