【元警察官】が答える!「クマとゴッツン!どうしたら?」……物損事故として処理を進めるのが◯
クマやシカに当たってしまったら……が、身近な問題となった! 現場ではどうする?
2024年11月、秋田市のスーパーにクマが出没し、従業員を襲ったあとで約50時間にわたってスーパー店内に立てこもる事件が発生しました。自然を追われたクマやシカといった野生動物が人里に出没するケースが急増していますが、もしクルマやバイクで野生動物にぶつかってしまったらどうすればよいのでしょうか? 【 画像ギャラリー 3枚】【元警察官】が答える!「クマとゴッツン!どうしたら?」……物損事故として処理を進めるのが◯……の写真を見る!
法の運用上、動物は「モノ」として扱われる
警察をはじめ、道路や交通にかかわる仕事では、クマやシカといった野生動物だけでなく、飼い主のいない野良イヌ・ネコ、誰かが飼育しているペットや家畜などは、すべて「モノ」として扱われます。 生命ある動物をモノとして扱うことに抵抗を感じる人も少なくないし、ペットを飼っている人にとっては家族同然でも、法律上の考え方は覆りません。その証拠に、他人のペットを故意に傷つけた場合は「他人の物を損壊・傷害した者」を罰する刑法の器物損壊罪に問われます。 なお、器物損壊罪には過失(わざとではない行為)を罰する規定がありません。たとえば、不注意で他人の家の美術品を壊してしまっても罪にはなりませんが、これは「犯罪ではない」というだけで、民事上の賠償責任までは免除されないという点は覚えておきましょう。
道路で動物とぶつかった場合の扱いは? 事故ったらどうすればいい?
動物がモノとして扱われるのなら、車両とぶつかってしまった場合はどのように考えるのでしょうか? 答えは「物損事故」です。 物損事故とは、人の死傷がない交通事故を指します。相手が生命のある動物でも、法律上はモノ扱いなので、モノの損傷が生じた物損事故という考え方です。 そして、事故を起こした相手はモノなので、運転者がひとりで物損事故を起こした「単独物損事故」という扱いになります。ガードレールや電柱などにぶつかったのと同じだといえばわかりやすいかもしれません。 単独物損事故を起こしたとき、まずするべきことは警察への届け出です。「相手がいないから届け出は要らない」と思うかもしれませんが、クマやシカ、イノシシなど、ある程度大きな動物とぶつかれば、まず間違いなく車両が損傷します。 もちろん、相手がいないのだから、いきなりぶつかってきたのだとしても、修理費用は自腹です。単独物損事故でも補償してくれる車両保険に加入していれば保険を使って修理できますが、この場合は警察の事故証明が必要になります。 ただし、警察はどこでどんな事故が起きたのかを調べない限り事故証明を出してくれません。だから、動物とぶつかったときは「その場で警察に通報する」のが正解なのです。