「今年も紅白に“旧ジャニーズ”は出ない」それが“テレビ崩壊”の始まりを意味するワケ
年の瀬になると盛り上がる、「NHK紅白歌合戦にジャニーズタレントは出るのか」という話題。2023年には44年間続いた連続出演が初めてゼロになった。これは同年に発覚した「性加害問題」を受けてのことだ。NHKは、旧ジャニーズ事務所のタレント起用を自粛する旨を表明していた。 2024年10月には起用再開が発表されたが、やはり今年の紅白も旧ジャニーズタレントの出演はなかった。騒動が起こってから1年半、事務所を取り巻く状況はどのように変化していったのだろうか。 【画像】旧ジャニーズタレントで、年末に「最も稼いだグループ」
霜田明寛氏の新刊『夢物語は終わらない ~影と光の”ジャニーズ”論~』より一部抜粋・編集のうえ、お届けする。 ■CM契約が減っても、屋台骨は揺らがない ジャニーズ事務所は2023年の騒動を経て、何を失ったのだろうか。そして、新会社では何が失われてはいけないのだろうか。“新たなジャニーズ事務所”はどうなっていくのか、これまでのジャニーズ事務所の特性を踏まえながら、未来に目を向けて考えていく。 まずは、何が失われてしまうのかについて考えていこう。世間でよく言われた損失としては、CM契約の解除や、NHK紅白歌合戦をはじめとした、テレビ番組の出演の減少がある。そう、これらは主に“芸能界”の部分である。
特にCMは、彼らが普段の活動で作り上げたイメージを一時的に使用する仕事だ。何か長期間にわたって稽古をする必要があるわけでもなく、撮影も1日程度で終わることが多く、彼らの追究する“芸事”とはかけ離れた仕事である。そして、CMではスポンサーや広告代理店、テレビ番組ではテレビ局と、発注主や共に組む仕事相手が存在する。 もちろんCMも稼働の少なさに反して大きな売上のある仕事ではあるが、これらがなくなっても、金銭的に事務所の屋台骨が揺らぐようなことは考えづらい。そもそも事務所は1回目の会見後に、1年間、広告・番組の出演料については報酬を受け取らないことを発表していたほどだ。