「今年も紅白に“旧ジャニーズ”は出ない」それが“テレビ崩壊”の始まりを意味するワケ
一方、彼らは自前の“芸事”の部分でも、きちんと売上を上げている。2022年のライブ売上は約478億、舞台は46億※1とも試算されている。さらにはファンクラブ収入も存在する。 報道では、CMの契約がなくなったことや、紅白をはじめとした音楽番組への出演があるかどうかなどが逐一報じられていたが、あくまでそれは彼らにとって“芸能界”における仕事でありプロモーションの部分とも言え、“芸事”の魂まで揺らがされるものではないはずである。
■独立・分離の背景にあった“肥大化”の悲劇 だが、それが原因で退所者が出るとなると話は別だ。2回の記者会見の後、事務所からの独立を発表した二宮和也、岡田准一、生田斗真の3人はCMの契約社数の多い3人だった。特に近年、個人のCM契約社数TOP3は木村拓哉・岡田准一・二宮和也であり、その3人のうち2人が抜けたことになる。 二宮は「怖くなった」など、彼らは性加害報道後の周囲の変化が独立のきっかけとなったことを匂わせている。
もともとタレントとCM契約をしていた企業の中で、契約解除を発表した上で、タレントたちに事務所からの独立を促すような文言を発表した企業もある。その上、番組スポンサーやテレビ局の意向で、独立がテレビ番組出演継続の交換条件となっているといった報道もあった。 1回目の会見の時点では、ジャニーズ事務所自体は名前も会社も存続するという発表だった。 だが、2回目の会見で、補償会社と新しく設立するエージェント会社に分離されるという発表がされた。新会社の設立、会社の分離自体が、テレビ局やCMクライアントなどからの声を受けてのものだったと、新会社の社長に就任した福田淳氏は説明している※2。
テレビ局やスポンサーなど主に“芸能界”における仕事相手からの働きかけが理由で、会社を分離させなければいけなかったり、ジャニーズ事務所で育ってきたアーティストたちが、事務所を離れなければならなかったりしたのだとしたら、これこそ“芸能界”と“芸事”の間で引き裂かれた悲劇だと言えるだろう。 かつて堂本剛はジャニー喜多川とメリー喜多川の2人を慮って「ジャニーズっていうものが、いつしか想像とは離れたものになってきてた部分が多少あったんでしょうかね※3」と語っていたことがあった。それは、肥大化しすぎてしまったことによる弊害があることの示唆だったのかもしれない。