幻のパン、ソロキャンプ場、多世代交流カフェ……移住者がつなぐ高齢化率「日本一」の村の可能性
「青年海外協力隊として暮らしたウガンダとの関りを活かしながら、南牧村の皆さんに永く愛してもらえる場所をつくれたらとても嬉しいです」と笑う元貴さん。 現在は、ウガンダのタクシーをモチーフにしたコーヒーの移動販売車も製作中とのこと。南牧村のあちらこちらでコーヒーの香りを楽しませてくれそうだ。
日本一の限界集落の自然と文化を受け継ぎ“現在”に取り組む村民たち
「村を盛り上げてくれる移住者が増えました」と話すのは、2014年から現職の長谷川最定(はせがわ・さいじょう)南牧村村長(68)。
就任した当時、村には「誰が村長になっても変わらない」という諦めムードが漂っていたが、「現在では起業する人や、夢をサポートするために村に移住する人が増えていると感じるようになった」のだという。
「村の人口がこのまま推移すれば、20年後には半分になるという試算もあります。それまで行政サービスをどうすれば維持できるのか悩みは尽きません。ですが、諦めずに今できることはすべてやるしかない」と話す長谷川村長。その一つが教育問題だ。
「(前出の)古川里紗さんに『教育に興味はありますか?』と尋ねたら、『子どもを授かることがあれば南牧村で育てたい』と答えてくれた。そこで、空席だった教育委員の仕事をお願いしたんです。おそらく南牧村史上最年少の教育委員では」(長谷川村長) 高齢化率日本一という厳しい現実と、最年少の教育委員という明るい話題が共存する南牧村。「結婚して村内に新居を構える新婚夫婦も増えたんです」と話す長谷川村長の表情は、あくまでも明るい。