コロナ禍でも右肩上がりの外国籍町民。約50カ国から人が集まる神奈川県央部の「異国」愛川町
総人口は減少傾向にありながら、外国籍の町民が増え続けている、神奈川県愛川町。それも50近い国や地域からと、バラエティーも豊かだ。コロナ禍に見舞われたこの数年も、増加傾向は変わらないという。なぜ彼らはこの町に惹きつけられるのか。現地を取材した。(取材・文:竹田聡一郎/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)※記事内の人データは2021年11月1日、人物の年齢、肩書などは12月1日現在のもの
スペイン語で感染症対策をアナウンスする町
「Para prevenir las infecciones, desinfecte bien las manos y los dedos. Use siempre mascarilla. Alto al corona!」 この10月、神奈川県県央北部・愛川町内の防災行政無線ではスペイン語が響いた。 「毎日しっかりと手や指を消毒しましょう。マスクも忘れないでね。STOP!コロナ」 日本語に訳すとこんな意味だ。ポルトガル語でも同様のアナウンスが流れた。 神奈川県愛甲郡愛川町の人口は4万人に少し届かないくらい。人口900万人超えの神奈川県にあっては、小ぶりな自治体だ。 しかし、その内訳はかなり異色だ。 ペルー人が696人、ブラジル人が491人、フィリピン人が380人、ベトナム人が336人と外国籍住民が多く、その数は2964人に達する。全人口39696人に対して7.5%という比率は、国際都市横浜などを抑えて神奈川県ではもっとも高い。 さらに興味深いのはその多様性だ。前述の南米やアジアのほかにも、欧州、アフリカの国々、48の国と地域からの人々が愛川町に移住。実際に町内を歩くとスペイン語、ポルトガル語など、異国語の看板を見つけることができる。ブラジル食料品店「サボールラティーノ」やハラル食材店の「A-ONE HALAL FOOD」のように外国の食材を扱う店もあれば、レストラン「TIKI」では本格的なペルー料理が味わえる。場所によっては異国の雰囲気すら漂う。