オーストラリアで16歳未満のSNS利用禁止法、日本はどうなる? ジャーナリストが解説
まず、依存性です。SNSでは利用者を刺激する情報が次々に届きます。その刺激によって利用をやめられなくなります。おとなでも依存症になりがちですが、発達途上の若年層だとなおさらです。それにより、勉強に向ける時間が減ったり睡眠時間が減って健康を害したりします。 また、摂食障害やうつ症状といったメンタルヘルスにも悪影響を与えるという研究が出てきています。脳の発達期にある子どもは特に大きな影響をうけるといいます。 偏った考えを強く持つようになったりまちがった事実を信じ込んだりすることも起こりがちになります。インターネットやSNSでは、自分の好みにあうニュースや投稿が次々と流れてくる仕組みがあります。そうした情報ばかりに接していると、自分の考えの偏りがどんどん強固になっていきます。 ネットやSNSの研究者の間では、この現象を「フィルターバブル」とよんでいます。フィルターとは水などをろ過するための膜のことで、バブルとは泡のことです。自分の好みにあう情報ばかりがフィルターを通って自分の周辺に入ってきて、そうした情報でいっぱいになった泡の中で暮らしている状態を表しています。そうなると、極端な思想に凝り固まったりフェイクニュースを信じ込んだりするようになり、多くのことに対して柔軟な判断ができなくなってしまいます。 ■SNSとうまく付き合うために親子でできることは こうした悪影響への対処法として大切なのは、まず保護者と子どもが話しあって利用時間や利用方法を決めることです。未成年とはいってもスマホを持たない生活は現実的ではなくなっていますので、その管理を適切にするしかありません。 情報へのリテラシー(読み解く力)を高めることも必要です。つまり、流れてくる情報の確からしさを見極める力です。そのために大切なのは、情報の発信源(ソース)を確認することです。ソースが書かれていて、それがマスメディアだったり公的機関だったりした場合は、原則的に信用していいでしょう。マスメディアや公的機関も間違った情報を流すことはありますが、それはごくわずかです。大きな社会的責任を背負っているので、確認に力を入れているためです。