オーストラリアで16歳未満のSNS利用禁止法、日本はどうなる? ジャーナリストが解説
アメリカでも動きがあります。ユタ州では、23年3月に18歳未満の利用者がSNSのアカウントを開設する際に保護者の同意を得ることを大手SNS事業者に義務づける法律が成立しました。また、フロリダ州では24年3月に14歳未満の子どもにSNSのアカウント取得を禁じる法案が成立しました。ニューヨーク市では24年1月にアダムス市長が、SNSを運営するソーシャルメディアを「公衆衛生上の危険をもたらすもの」として「環境有害物質」に指定するよう勧告しました。そして、ソーシャルメディアの使用時間の制限や通知機能の設定変更を推奨し、保護者には少なくとも14歳まではソーシャルメディアを使うための機器を与えないように促しました。 ■日本ではSNSによる誹謗中傷や偽情報への規制を議論中 日本ではまだ若年層を対象にした利用制限の議論は本格化していません。香川県で20年に18歳未満を対象にゲームやスマホの利用時間を制限する「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行されたのが目立つくらいです。日本ではどちらかというと、年齢層を問わず、ネットやSNSによる誹謗中傷や偽情報への規制が議論の中心になっています。 ただ、SNS事業者の自主規制が日本にも及ぶことはあります。アメリカのメタ社はインスタグラムで10代の利用者が使える機能を制限する取り組みを始めています。10代の利用者を対象にした「ティーンアカウント」を設け、見ることのできる投稿を制限したり利用時間が多くなるとアプリを閉じるように求める通知が届いたり夜間には使えなくなったりする仕組みです。日本でも25年1月から利用できるようになります。 ■SNS利用による悪影響とは? 世界各国が若年層のSNS利用を規制しようとするのは、悪影響が深刻になっているからです。オーストラリアの法律制定では性的なコンテンツによる悪影響やいじめにつながる悪影響が理由となっていますが、指摘される悪影響はほかにもたくさんあります。