33歳で欧州初挑戦、谷口彰悟が覆すキャリアの常識「ステップアップを狙っている。これからもギラギラしていく」
北中米ワールドカップ出場をかけたアジア最終予選で3バックの中央として、日本代表を束ねる谷口彰悟。今夏、中東カタールのアル・ラーヤンからベルギーのシントトロイデンへ、33歳で初の欧州挑戦を成就させ、リーグ戦でも存在感を示してきた。31歳で臨んだカタールワールドカップを機に、“年齢の壁”を意識することなく異色のキャリアを切り開いてきたベテランの過去・現在・未来に迫る。 (文=藤江直人、写真=Panoramic/アフロ)
33歳で初の欧州挑戦。「まだギラギラしている」
熊本県の強豪・大津高校から名門・筑波大学をへて、2014年に川崎フロンターレへ加入。公式戦377試合に出場して、4度のJ1優勝を含めて国内三大タイトルをすべて獲得。リーグ選出のベストイレブンに4度輝き、日本代表として2022年のカタールワールドカップで2試合ピッチに立った。 一人の選手として谷口彰悟が刻んできた輝かしいキャリアは30歳を超えて、特に33歳になった今夏を境にいい意味で激変した。それは谷口自らが強く望み、強い意思で切り開いたものだった。 まずは誕生日から4日後の7月19日に、カタールのアル・ラーヤンからベルギーのシントトロイデンへの完全移籍が発表された。33歳でのヨーロッパ初挑戦を、谷口はこう語っていた。 「なかなか前例がないというか、あまり聞かないようなキャリアの歩み方をしていると自分自身もよく理解しています。ただ、常にレベルの高い場所というか、自分が成長できる場所、面白いと思える場所でサッカーをしたい、という思いは常にもっていました。この年齢で初めてとなるヨーロッパ挑戦を僕自身もワクワクしているし、まだまだギラギラしている、という思いは強いですね」 しかし、新天地で初先発を果たしたロイヤル・アントワープとの第3節は大量6失点の完敗。シントトロイデンも開幕3連敗を喫する非情な現実に、谷口は「僕自身、90分間出場して6失点は、なかなかショッキングな結果でした」と振り返りながら、挑戦への思いを強くしている。 「ベルギーへ移籍してきて、全然ダメだとなれば『ほら見たことか』となるはずなので。そこは自分自身に大きなプレッシャーをかけながら、力があればこの年齢でもヨーロッパの舞台でしっかりと戦えると示していかないといけない。それができれば『日本人、戦えるじゃないか』という全体的な評価にもつながってくるので、そういった思いを多少なりとも背負ってはいます」