33歳で欧州初挑戦、谷口彰悟が覆すキャリアの常識「ステップアップを狙っている。これからもギラギラしていく」
クラブ状況も好転。代表との両輪で目指すステップアップ
代表デビューを果たした2015年6月。当時のヴァイッド・ハリルホジッチ監督から「頭ですべて弾き返してこい」とハッパをかけられ、ボランチで途中出場したプロ2年生の谷口は、27歳になる直前で迎える2018年のロシアワールドカップをこう位置づけていた。 「年齢的にも多分、最後のチャンスになると思っている」 しかし、他の選手とは明らかに一線を画し、前方には日本人選手が誰一人としていないキャリアを歩みながら、谷口の目標はカタール大会の次、2年後の北中米大会へ自然に修正された。 そして、挑戦の過程に位置されるシントトロイデンでの状況も、代表の9月シリーズ後にこれもいい意味で激変している。マッズ新監督のもとでも最終ラインの要を託された、ルーヴェンとの再開初戦。シントトロイデンは2-1で制し、7試合目にしてリーグ戦初白星をあげた。 続くベールスホットとの第8節の開始9分には、左コーナーキックからのこぼれ球を右足で押し込む移籍後初ゴールとなる先制弾をマーク。最終的には3-0と初の完封勝利で連勝した。 続くセルクル・ブルージュ戦、ヘンク戦はともに1-1で引き分けた。それでも2勝5分けと7戦連続無敗をマークした手応えをさらなる自信へ変えながら、谷口は再びモードを代表に切り替え、サウジアラビア代表とのアジア最終予選が行われる敵地ジッダに入っている。 実はシントトロイデンへの加入後に、谷口は笑顔を浮かべながらこんな言葉を残している。 「(ベルギーからの)ステップアップを狙っているのか、と言われれば、そこは狙っています。まだまだ僕も頑張っていきますし、これからもギラギラしていきますよ」 33歳を迎えたシーズンでのヨーロッパ初挑戦も通過点。川崎時代から武器としてきたビルドアップ能力だけでなく、屈強な大男たちとの肉弾戦も厭わないフィジカル能力にも磨きをかけながら、所属クラブと日本代表とで、谷口はサッカー界の常識を覆すキャリアを自らの力で紡いでいく。 <了>
文=藤江直人