リレー要員で桐生祥秀とデーデー・ブルーノが東京五輪代表入り…金メダル狙う4×100mリレー最強メンバーはどうなる?
今季の調子を考えると100mで9秒95の日本記録を打ち立てた山縣と日本選手権の100mを初制覇した多田のメンバー入りが濃厚だ。ともに日本代表では1走を務めることが多く、キャラクターとしては若干カブる。 日本選手権翌日に行われた日本代表選手記者会見で希望走順を聞かれると、多田は「僕は1走がいいなと。ほとんど1走しかやってこなかったので。ちょっと自己中みたいですけど」とコメント。一方の山縣は「僕はどこでもいいです」と大人の対応を見せている。今季抜群のスタートダッシュを披露している多田が1走の候補といえそうだ。 そうなると山縣は2走もしくは4走となる。19年のセイコーゴールデングランプリ大阪では1走・多田、2走・山縣、3走・小池、4走・桐生というオーダーで38秒00をマークしており、山縣は2走が有力ではないだろうか。 100m代表メンバーでいうと小池の使いどころが悩ましい。過去の日本代表では1走、2走、3走を務めた経験がある。起用でマルチなタイプだけに何走でも対応できるが、逆にいうと“強み”に欠ける部分があるのだ。消去法でアンカーの起用になるのではないだろうか。もしくは小池が2走、山縣が4走というオーダーも十分に考えられる。 では、他の候補選手の適正走順はどこなのか。日本選手権で大ブレイクを果たしたデーデーは東海大で2走を務めている。現時点では経験豊富な飯塚とともに2走のリザーブという位置づけになりそうだ。そして200m代表のサニブラウンと山下が4走のリザーブとなる。このなかではサニブラウンのポテンシャルが高い。調子が上がってくれば、サニブラウンがアンカーに起用される可能性もあるだろう。 17年ロンドン世界選手権は予選でケンブリッジ飛鳥が4走を務めたが、調子が上がらず、決勝では藤光謙司が大役を担った。19年ドーハ世界選手権も予選で1走の小池が精彩を欠いたため、決勝は多田にチェンジ。アジア記録の37秒43で銅メダルに輝いている。 メダル獲得のミッションを課せられている男子4×100mリレーは固定の4人で戦うのではなく、リザーブを含めた“チーム力”が重要になる。桐生は右アキレス腱に痛みを抱えており、サニブラウンも左太腿の違和感で日本選手権の200mを欠場した。1人もしくは2人が戦線離脱したとしても、戦えるような戦略を考えておかないといけない。4×100mリレーでは、受け取ったバトンを逆の手に持ち替えることはしない。そのためバトンを持つ手は「右→左→右→左」もしくは「左→右→左→右」になる。純粋な走力だけでなく、バトンパスの巧みさと相性も大切な要素だ。これからの合宿でベストオーダーを探っていくことになる。 間違いなく“史上最強メンバー”が揃った日本の男子4×100mリレー。悲願の金メダル獲得に向けて、いよいよ本格的に始動する。8月6日の夜にはどんな4人が栄光のバトンをつなぐのだろうか。 (文責・酒井政人/スポーツライター)