【話題の主役はBEV】ディーゼルとAMGに新型メルセデス・ベンツGクラスの本質を見た!
変わらないという価値を持つG63
洗練した印象をG450dで感じた後に、G63にオンロードで試乗。するとこちらは古典的な印象を受けた。4.0LV8ツインターボを搭載したG63は、最高出力585ps、最大トルク850Nmを発生。そのパフォーマンスを使い切ることは難しいが、野性的なエンジンサウンドは相変わらずだ。 電子制御の可変減衰ダンパーと油圧式スタビライザーが採用されているものの、ワインディングを走るとそのロール感とコーナーリングはラダーフレームであることを隠しきれない。リニアとは遠い古典的なフィーリングだ。 アクセルを開ければ野性的なサウンドは主張を増し、2570kgの車体を感じさせない暴力的な加速を見せる。このサウンドとフィーリング、そして現代的とは言えないコーナーリング時の感触。Gクラスの歴史を考えれば本流とは言えないかもしれないが、むしろ『変わらないことの価値』を持っているのはG63ではないかと感じた。 電動化が叫ばれる昨今、絶滅危惧種と表現される大排気量のハイパフォーマンスエンジンを搭載したモデルは、世界のセレブリティの間で人気が高い。Gクラスの中で最も売れていると言われているG63だが、変わることのないこの古典的なフィーリングが心を射止めているのではないかと強く感じる。 先進のG580、伝統と洗練が両立するG450d、そして不変で古典的なフィーリングを持つG63、同じGクラスでもキャラクターは三者三様で際立っていた。
西川昇吾(執筆) 神村聖(撮影) 平井大介(編集)