軽商用EVに見るホンダの「超本気」EVシフト、三菱商事との協業に潜む「狙い」とは
本田技研工業(以下、ホンダ)から今年10月、軽商用EV(電気自動車)の「N-VANe:(エヌバン イー)」が発売された。2040年に新車販売におけるEVとFCV(燃料電池車)比率を100%にすることを掲げて以降、ホンダとして初の商用EVとなる同車種を詳しく見ていくと、ホンダのEVシフトに対する「本気度」が見えてくる。同車種の特徴や性能に加え、EV関連事業での三菱商事との新会社設立の背景についても、モータージャーナリストの御堀直嗣氏が解説する。 【詳細な図や写真】N-VAN e:には4種のラインナップがある(出典元: Tegar Pict / Shutterstock.com)
ホンダ2代目の市販EV「N-VAN e:」
1ページ目を1分でまとめた動画 ホンダから今年10月、同社2台目の市販EVとなるN-VAN e:が発売された。N-VAN e:は、軽自動車規格のいわゆる商用バンだ。 軽商用EVは、三菱自動車工業が2011年にミニキャブMiEV(ミーブ)を発売したのが最初であり、同モデルは現在、三菱eKクロスEVの技術を導入したミニキャブEVへ発展・進化している。 ほかにも、2021年には自社工場を持たず他社に製造を委託する、いわゆるファブレスメーカーのHWエレクトロから、エレモKという軽商用EVが発売されている。また同社とは別に、やはりファブレスメーカーであるASFが、佐川急便と共同開発した車種、ASF2.0が2023年から街を走り始めている。ちなみにこのASF2.0は、マツキヨココカラ&カンパニーに業務車両として納車されている。 こうした車種の一方で、ダイハツの軽商用バンである「ハイゼットカーゴ」(エンジン車)を基に開発された軽商用EVの発売が延期されるという出来事も起きている。 この車種は、ダイハツ、トヨタ、スズキの3社がEVシステムを共同開発し、上記3社に加え日野自動車も加えた全4社が出資する商用車の企画会社CJPTも製品企画に参加した軽商用EVだ。2023年度中にトヨタやスズキへ供給される予定だったが、ダイハツの生産および出荷停止措置の影響を受け、延期になった。