「知識を持つことで災害時の女性への対応も変わっていく」Bé-A〈ベア〉が取り組む「生理セミナー」
「生理セミナー」で話してほしいこと、不安なことを事前に生徒からヒアリング
高井 取り組みがきちんと当事者に届いて反響が生まれ、次のステップへとつながっていったのですね。学校での開催にあたって工夫されたことはありますか? 髙橋 学生向けの生理セミナーでは、事前にオンラインミーティングを行い、生徒さんたちにヒアリングしています。例えば、2023年に千葉の県立高校の先生からご依頼があったときも、生徒会の学生さんたちに、どんなことを話してほしいか、どんなことを恥ずかしいと思うかといったことをヒアリングしたうえで行いました。 高井 そうした声は学校によっても違うものですか? 髙橋 同じ高校生でもまったく違いますね。初めて生理セミナーを開催した湘南学園中学校高等学校は、男の子たちが「パートナーができたときに大切にしてあげたいから、生理のことをちゃんと知りたい」というスタンスだったんです。ですから、生理中にはどんな痛みや症状があるのか、そのときにどういうふうに声をかけてあげたらいいのか、といったことを知りたいということでした。 また、中高一貫男子校の本郷中学校・高等学校(東京都)で開催した際は、「医師を目指しているので、女性の体について知りたい」など、医学的・社会的な側面に興味を持つ生徒さんが多かったですね。どの学校でも、皆さん本当に真剣に聞いてくれます。
知識を持つことで、災害時などの女性への対応も変わっていくはず
高井 発信する場を持つからには、相手にフィットさせた内容を提案することが大切なのですね。 髙橋 そうですね。例えば、2024年3月に生理セミナーを開催した福島県立川俣高等学校がある川俣町は、東日本大震災の際に町自体も被災しながら、原発周辺の市町村から避難してきた4万人以上の方を受け入れました。その数は、町の人口(当時)の約3倍にあたります。 当時は備蓄品の生理用品が不足し、自治体の方々が1軒1軒回りながら生理用品を集めたそうです。ですから、生理セミナーでは生理についての理解はもちろん、災害時のことも理解したいというリクエストをいただきました。このように、さまざまなシチュエーションに合わせて開催しています。 高井 能登半島地震でもさまざまな困りごとが起きたと聞きますし、生理がある女性にとって、災害への備えは本当に大切なテーマだと思います。 髙橋 「避難所で生理用品が1~2枚しか配られなかった」というニュースがありましたが、配布される担当の方が、そもそも生理中に何枚ぐらいのナプキンが必要かを知らなければ、わからないのは当たり前だと思うんです。そうしたことを生理セミナーで正しく知り、理解が深まれば、不要な行き違いも生まれなくなるのではないかと思っていて。 高井 おっしゃるとおりですね。生理セミナーの反応で印象的だったことはありますか。 髙橋 男子生徒の反応でいちばん多いのは、「こんなにナプキンの交換頻度が多いとは思わなかった」というものです。また、生理のときにイライラしたり腹痛が起きたりすることは聞いていても、眠くなる・お腹がすくといったほかの症状やPMS、排卵などについては知らなかったというケースが多く、男性の先生からも「知らなかった」という声があがりますね。