「知識を持つことで災害時の女性への対応も変わっていく」Bé-A〈ベア〉が取り組む「生理セミナー」
100人いれば、100通りの生理の悩みがある
高井 2024年から、公立高校の受験では生理による体調不良が追試験の対象になりました。中高生のときにもし学校で経血が漏れたり、椅子についたりしてしまったら、本当に心が折れるようなショックだろうと思います。その点、先日アップデートしてリリースされたジュニア用の「ベア ペティート シグネチャー ショーツ 04」は本当に心強いアイテムですが、サイズ以外にも大人用との違いがあるのでしょうか? 髙橋 ショーツ自体の構造は同じです。ただ、ジュニア用は吸収体(肌に触れるクロッチ部分)がグレーになっています。というのも、始まって2~3年は、毎月同じリズムでくるとは限らないので、いつきたか、どれくらいの量なのか、何日目が多いのか、クロッチの前側に溜まりやすいといった伝い漏れの傾向なども目で見て理解してほしいなと思って。
高井 知ることの意義は本当に大きいですよね。先日、エチオピアでも生理セミナーを開催されたそうですが、文化が違う国での開催はいかがでしたか? 髙橋 学校教育で生理について学ぶ機会がほとんどないせいか、現地の女性たちがものすごく熱心に聞いてくださって、終了後も囲まれて質問を受け続るほど反響がありました。「タンポンを使うと処女でなくなるのでは…という心配があるけれど、実際はどうですか?」という質問もありました。 高井 それは大きな一歩ですね。国内外で生理セミナーをスタートしてみて、想定とのギャップはありましたか? 髙橋 ギャップはありませんが、伝えたいことがどんどん増えています。100人いれば、100通りの悩みがあるので。例えば最近は、生理用品の捨て方や伝い漏れが起きる仕組みから、大人でも意外と知らない痛み止めの種類についても伝えています。 また、経血が体外に排出されて鉄分不足になることで体がだるくなったり、朝起きられなかったりすること、鉄分を補給するだけでも体調が楽になるケースがあることなども伝えていくつもりです。今後もさまざまなパートナー企業様と一緒に、GBAの活動をサステナブルに続けていきたいと考えています。 取材を終えて…こちらの取材のすぐ後に、中高一貫男子校の本郷中学校・高等学校で開催された生理セミナーを見学しました。生徒さんたちはナプキンを開いてみたり、タンポンを水につけてみたり。体の仕組みを学んだうえで、「生理がある女性の日常生活」を理解することが大変貴重だと感じました。ディスカッションタイムでは、“正解はない”という前提のもと、「もし、目の前を歩いていた女性のスカートに血がついていたら?」というお題も。生徒さんが一生懸命考えて答える姿に、目頭が熱くなってしまいました。この生徒さんたちが創る未来はきっと明るくなる、とも感じました。 おそらく、ナプキンやタンポンを生涯で1度も触ったことがない男性も多いのではないでしょうか。ちなみに「生理セミナー」では、実は女性の私も知らなかったり、知識があやふやだったことも学べるのです。体の性別、性自認、年齢問わず、すべての人が「生理セミナー」を受けられる環境を、yoiでも考えていきたいと思いました。(高井) Bé-A〈ベア〉代表取締役CEO 髙橋くみ UCL(ロンドン⼤学)卒業後、外資系映画会社、外資系アパレル会社を経て共同経営者の⼭本未奈⼦と共にMNC New Yorkを設⽴。シングルマザーに育てられたこともあり「ジェンダー平等」「⼥性のエンパワメント」には⼈⼀倍の関⼼と持論を持つ。2020年3⽉にBe-A Japanを設⽴。家族と暮らすアメリカ・ロサンゼルスと日本を⾏き来しながら経営を⾏う傍ら、生理や女性活躍推進に関してのセミナー等を積極的に行う。 yoi編集長 高井佳子 入社以来、『ノンノ』『バイラ』『マリソル』『エクラ』と、幅広い年代の女性誌媒体に編集者として携わる。2021年@BAILA編集長に就任、2023年6月より現職。 撮影/露木聡子 画像デザイン/坪本瑞希 取材・文・構成/国分美由紀 企画/高井佳子(yoi)