これって老害? 若手から煙たがられる中高年に当てはまる“4つの思い込み”
無意識の思い込みが「老害」を生む
しかし、学生や若い社会人と長く接していて、「なるほど、彼らが我々を『老害』と言うのも一理あるな」というのが私の実感です。 これだけインターネットが生活に入り込み、今やリアルとバーチャル空間の境目がないような生活をしている彼らと、リアル一辺倒で、「がんばれば、報われる」と信じていた私たちでは価値観が違うのは当然のこと。 それは十分わかっているつもりでも、態度や発言に、若い世代に対する偏見がにじみ出てしまうのです。注意しなければいけません。 「アンコンシャス・バイアス」という言葉をご存じでしょうか。 「アンコンシャス」は「無意識」、「バイアス」は「偏見」です。つまり「アンコンシャス・バイアス」とは、知らず知らず無意識のうちに出てくる思い込みや偏見のこと。これは今、あらゆる企業が、ビジネスコミュニケーションの課題に位置づけています。 では、どんな「アンコンシャス・バイアス」があるのでしょう。代表的なものを4つ挙げます。胸に手を当てながら聞いてください。 ①ステレオタイプ(決めつけ) ・今の若いやつらは、辛抱が足りない。 ・女は無駄口が多くて、話が長い。 ・若いから、ITは得意だろ。 まるで常識であるかのように決めてかかる。これは誰もがやってしまいがちです。 今の50代が社会に出たのは、女性の本格的な社会参画を定めた雇用機会均等法が施行された時代。まだまだジェンダーやハラスメントに対する意識が低い時代です。 つい無意識のうちに「女は」「若い連中は」「理系出身は」「営業のやつらは」など、その人の属性を主語にした「決めつけ」をしていないでしょうか。その決めつけが、時代とズレていないでしょうか。細心のチェックが必要です。 ②慈悲的差別(よかれと思って) ・お前の将来を思って「今、がんばれ」と言っているんだ。 ・産休明けだから、大変だろうと思って、この仕事から外した。 ・お前は外で経験すればもっと成長できると思って、転勤してもらう。 相手の気持ちを確かめず、自分ひとりで「よかれと思って」発言したり、行動する。自分では、相手のためを考えてよいことをしていると信じきっている分、修正が難しいんです。いかがですか、やっていませんか。 ③確証バイアス(都合のいいチョイス) ・あの会社もやっているから、うちがやっても大丈夫だろう。 ・太田専務も山崎局長も言っているからやろう。 ・みんな「あの言い方はひどい」と言っていたよ。 自分の思い込みを正しいものであるように見せるために、自分にとって都合のいい情報ばかりを集める。上位者が権力のある人の名前を並べれば、即パワハラです。 ④生存バイアス(成功者の偏見) ・俺の時代は「24時間闘えますか?」と言われて働いたもんだ。 ・俺だって、今のお前みたいにつらい時期はあった。でも、それを乗り越えて強くなってきたんだ。 ・ 野球に強くなれ。俺は得意先が、大のジャイアンツファンだから必死に野球を覚えて、相手の懐に入っていったんだ。 いわゆる「自慢話」です。老害とは、タイムパフォーマンスの悪い自慢話を若者に聞かせて悦に入ることです。自分では気持ちよく、相手のためになると思っている分、始末が悪いです。 いかがですか。 あなたの発言「ガッツも野心もない、でもおいしい思いをしたこともない」は「決めつけ」ではないですか。「志は高くもってほしいし、この願いを伝えるのが自分の役割」は、「よかれと思って」やっていませんか。 きっと悪気はないし、本当に部下を思い、自分のもっている知識や経験を活かしてほしいと願っているのでしょう。しかし、それを相手が生きてきた時代背景、環境、価値観を知らぬままに話していると、相手に「老害」と思われる確率は高くなってしまいます。