【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】アメリカ大陸3連戦はタイトル争いの山場になる!
■タイトル争いの厳しさを知り尽くすレッドブル 現状、マシン性能はマクラーレンが頭ひとつ抜け出していますし、ノリス選手とピアストリ選手が安定してポイントを積み重ねています。対してレッドブルはフェルスタッペン選手が孤軍奮闘している状況なので、コンストラクターズ選手権で逆転するのは難しいと思います。 でも一方、ドライバーズ選手権でノリス選手がフェルスタッペン選手に追いつき、逆転でチャンピオンになるのは簡単ではないでしょう。マクラーレンは決して盤石の戦いをしているわけではありません。トップチームらしからぬミスで、順位を落とす場面がありました。 アゼルバジャンでチームの判断ミスで、ノリス選手が予選Q1で敗退。17番手に終わります。決勝は上位勢にアクシデントがあり、最終的には4位でゴールしましたが、そういうミスがこれからのチャンピオン争いで大きく響いてくると思います。 マクラーレンは、チームメイト同士で自由に戦うことを許可する"パパイヤルール"を撤廃したと言いますが、ピアストリ選手がノリス選手をしっかりとサポートして勝ちきったレースはありません。これまで"パパイヤルール"があったことでノリス選手はかなりのポイントを失っています。それがフェルスタッペン選手とドライバーズ選手権を争う上で、大きな足かせになっています。 劣勢のレッドブルはタイトル獲得のために貪欲に戦っています。シンガポールでは、ゴール直前にレッドブルの姉妹チーム、ビザ・キャッシュアップRB(VCARB)のダニエル・リカルド選手がピットインしてソフトタイヤに交換し、ファステストラップを取りにいきました。あの場面には驚かされました。 ファストストラップを記録したドライバーとチームには1ポイントが与えられますが、入賞圏内の10位以内でフィニッシュした場合に限ります。リカルド選手がピットインしたときは入賞圏内を走行していなかったので、その条件を満たしていません。それでもリカルド選手はファステストラップを記録することで、結果的にマクラーレンとノリス選手から1ポイントを奪い取る形になりました。 正直言って「そこまでやるの!?」と感じました。いくら姉妹チームとはいえ、レッドブルとVCARBは別のチームです。しかもリカルドはポイントを取れるわけじゃないですからね。でもフェルスタッペン選手とノリス選手のドライバーズチャンピオン争いがもつれ、最後にフェルスタッペン選手が1ポイント差でタイトルを獲得したら、もうリカルド様様ですね(笑)。 レッドブル陣営は、チャンピオン争いの厳しさを熟知しているからこそ、そういうギリギリの勝負を仕掛けてくる。「えげつないなあ」と思う一方で、「さすがだな」と感心もしました。