WRCタイトルまであと1歩届かず。トヨタとの激闘に敗れたヒョンデ「もっと上手くやる必要がある」タナク戦線離脱が大きな影響
ヒョンデのシリル・アビテブール代表は、2024年の世界ラリー選手権(WRC)マニュファクチャラーズタイトル敗北の“手痛い”要因のひとつとなったオット・タナクのラリージャパンでのクラッシュから、チームが「もっと上手くやる必要がある」と語った。 【動画】WRCラリージャパン × 航空自衛隊 勝田貴元が”マシンスワップ”でF-2戦闘機に搭乗! 先週末に開催されたラリージャパンの最終日、ヒョンデは劇的な結末で2020年以来となるマニュファクチャラーズタイトル獲得を逃した。 ヒョンデはセントラル・ヨーロッパ・ラリーを終えてライバルのトヨタに15ポイント差をつけ、タイトル獲得に王手をかけてシーズン最終戦のラリージャパンを迎えた。 しかしラリージャパンの最終日、SS17でラリーリーダーのタナクが高速クラッシュ。これでチームメイトのティエリー・ヌービルにドライバーズタイトルを譲ってしまった。 トヨタは最終日に向けてヒョンデに11ポイント差まで迫っていたが、タナクがクラッシュでラリーを完走できなかったことで、土曜日と日曜日のポイント両方を失うことに……ヒョンデとトヨタは同ポイントで最終パワーステージに臨み、トヨタがスリリングなクライマックスで勝利を収め、わずか3ポイント差で4年連続マニュファクチャラーズチャンピオンに輝いた。 ヌービル/マーティン・ヴィーデガ組がドライバーズ/コドライバーズタイトルを確定した数時間後にチームがマニュファクチャラーズタイトルを逃した心境を尋ねられたアビテブール代表は、次のように答えた。 「確かに、我々はあと一歩のところまで迫った。ほんのわずかの差で逃すと、いつも少しイライラするし、悔しいモノだ」 「しかしティエリーとマーティンが成し遂げたこと、そして彼らが真にふさわしい結果を残したことで、心の余裕を感じることができる」 「ティエリーがふさわしいと思うのと同じように、トヨタが今の位置にいること、つまりトップにいることもふさわしいことだと思う。そこが彼らにふさわしいポジションだと私は思っている。セブ(セバスチャン・オジェ/トヨタ)が最終ステージで攻めた時、ティエリーは彼に及ばなかった」 「我々はそれを刺激として受け止めるべきだし、彼らのレベルに到達するためにはまだもう一歩踏み出す必要があるということを示している。来年に繋げることができると思う」 アビテブール代表は、チームメンバー全員にとって“痛恨の痛み”であったことを認め、タイトル獲得がかかった状況でチームがより良くマネジメントしていく必要があると語った。 アビテブール代表は、競技中にチームがより多くのデータを伝え、ドライバーとより多くのコミュニケーションを取れるようにと、レギュレーションの変更を推進してきた。 以前は、チームはステージの途中で順位をクルーに伝えることができたが、2015年シーズンを前にFIAによって禁止された。理由はドライバーが最大限の走りをせず、ステージを流して走る可能性があったためだ。 タナクのクラッシュとマニュファクチャラータイトル争いにおけるその影響を尋ねられたアビテブール代表は、次のように答えた。 「難しいことだ。チームメンバーの誰にとっても痛恨の痛みだ。彼ら(タナクとマルティン・ヤルヴェオヤ)にとっても辛かったはずだ」 「正直に言うと、(ドライバーたちが)このマシンの中でリスクをどれだけ把握できているのか、私は未だに測りかねている。0.1秒速くとか、0.1秒遅くとか、周回を重ねるごとに伝えられるサーキットレースではない。スタートしたら、あとは彼ら次第だ」 「我々は今、巨大なコネクティビティ社会、膨大なデータの時代にいる。スプリットタイムを見れば明らかなこともある。彼は速すぎた。私にとっては明らかだが、彼らにとっては明らかなことなのか? 私には分からない」 「メッセージは明確だった。(マニュファクチャラーズタイトル獲得のため)我々は(日曜日に)1位や2位でもなく、3位と5位になる必要があると話していた。あのようなクレイジーな攻めは必要なかった。しかし問題は、彼らが攻めすぎているというのをどれだけ知っているかということだ」 「彼は出走順が最後で、ステージの中継もあったと思う。しかし、マシンには情報がなかった。彼らの評価能力を理解するには、まだ経験が不足していると弁明せざると得ない」 「これは昨年も大きなフラストレーションとなっていて、ステージ前やステージ後に、取るべきリスクの度合いについてドライバーと何らかの形でコミュニケーションを取る手段を私は(WRCに)導入できなかった」 「これは我々がもっと上手くやらなければならないことだ。もしかしたらトヨタは上手くやっているのかもしれないが、私は彼らのプロトコルを知らない。我々は、このアクシデントから学び、改善していくと信じたい」
Tom Howard