レース1周目にいきなり無線トラブル……ストロール「コミュニケーションがまったく取れなかった」ピットストップ失敗で15位
アストンマーティンのランス・ストロールは、F1ラスベガスGPの最初のピットストップで大きなタイムロスを喫したが、決勝1周目から無線トラブルに見舞われたことが原因だったという。 【動画】歌舞伎+F1! 市川團十郎が、F1テーマに乗って登場 ストロールは18番グリッドからのスタート手順に関するチームからの指示に応えたものの、その後エンジニアのベン・ミッシェルとの連絡が途絶えてしまった。 そのため、ライバルの多くも見舞われたミディアムタイヤの極端なグレイニング(ささくれ摩耗)に悩まされたストロールは、ステアリングの“ピット確認”ボタンを何度も押して、アストンマーティン側により早くピットへ入りたいという意志を伝えようとしていた。 そして50周のうち9周目にストロールはピットに飛び込んだが、ピットボックスに到着した時には、ハードタイヤを用意したメカニックはおらず、チームの準備が整っていなかった。 チームは無線に問題があることを示すためにピット確認ボタンを使用するようストロールに伝えていたが、いずれにせよストロールが飛び込んだ周にはピットインの指示はなかった。 「1周目から無線が入らず、難しいレースになった」とストロールは語った。 「コミュニケーションがまったく取れなかった。そのせいでピットストップが難しくなったし、ピット確認ボタンでピットインすることを伝えようとしたんだ。でもメッセージは届かなかった」 このトラブルがレースタイムにどれだけ影響したかを尋ねると、ストロールは次のように答えた。 「20秒はかかった。かなりの影響だ」 「マシンの方は変わらない。マシンには問題がなく、戦略とピットストップの問題だ」 「レース序盤はミディアムタイヤの消耗が激しかったから、ピットに入って早くハードタイヤで可能な限り走りたかった」 「レース前は、ミディアムタイヤでもっと長く走る予定だった。しかしミディアムの状態が予想以上に悪かったから、そのことを伝えて、早めにピットインすることを伝えようとしていた」 「でもピット確認ボタン以外、コミュニケーションを取ることができなかった。そういうレースだった」 チーム代表のマイク・クラックによると、チームは最終的に「ピットボードを介してレースをマネジメントする」ことにして、ストロールの2回目のピットストップはその後、滞りなく行なわれたという。 最終的に15位でフィニッシュしたストロールは、無線のトラブルがなければ「12位か、もう少し(ポジションを)上げられたかもしれない」と語った。 そしてストロールは次のように続けた。 「20秒ロスして、前のふたりのドライバーから10秒遅れでフィニッシュしたんだ。だから2~3ポジションは上げることができたけど、それでもポイントは獲得できなかった」 ラスベガスGPでは、ピットストップの混乱に巻き込まれたのがもうひとり。アルピーヌのエステバン・オコンも最初のピットストップで大幅なタイムロスを喫した。 オコンはハースのニコ・ヒュルケンベルグが当該の周回でピットに入らなかったらピットインをするよう指示されていたものの、オコンがピットレーンを走っている時点で、アルピーヌのピットボックスにはメカニックがひとりしかおらず、オコンはそのままピット作業を行なわずにピット出口に向かった。 そしてオコンは正しくタイヤ交換を行なうために翌周に再びピットへ入ったことで、大きく順位を落とした。 「あの時は(ヒュルケンベルグの)逆をついてピットインしようとする難しい状況だった」とオコンは言う。 「でも結果的にタイヤを替えず、無意味にドライブスルーしてしまった。最後まで1ストップで走り切ろうとしていたから、僕らのレースが台無しになってしまった」 アルピーヌのチーム代表であるオリバー・オークスは、この問題について「チーム側のミス」だと認めた。そしてオコンは1ストップ戦略の敢行に失敗したことで11番手スタートながら17位フィニッシュとなった。
Alex Kalinauckas