本はつまらないところを「読み飛ばし」たっていい 子どもが「読書に飽きなくなる」3つのコツとは
■3)予備知識をつけてあげる「ガイド読み」 ――子どもが選んで読む本は、いつも自分が知っている分野ばかり。新しいジャンルを開拓してほしい……という「あるある」も多いようです。 本を読む前に、あらすじを少しだけ教えて、負荷を減らしてあげましょう。僕たちはこれを「ガイド読み」とよんでいます。この「ガイド」が親御さんです。 本を読むときって、最初の数ページがいちばん大変ですよね。状況が全く分からない中で、背景を想像しながら、登場人物の名前を覚えながら読み進んでいく。読書体力のある子どもはこの過程を楽しむことすらできるのですが、そうでない子どもはもうこの時点で嫌になりがちです。 たとえば映画を観たあとなら、原作の本もずっと読みやすいし、楽しめますよね。こんなふうに、先に大枠のあらすじや舞台を知っていれば疲れません。ということは、長く読めるようになっていくということなのです。 この3つを意識していると、本を読むことにだんだん慣れてきます。すると、長い本も読めるようになってくる。そこで「達成感」を味わえます。成功体験ですよね。ここまでくると、読書体力はかなりついてきているはずです。 ■僕は、物語の「情景描写」を読み飛ばすことが多かったです ―――ストーリーの途中で飽きてしまったり、中だるみしてしまうケースは、どうしたらいいでしょう。 僕は、つまらないと感じる部分は、飛ばしていいと思っています。実は、小学生時代の僕も、物語の情景描写はだいたい読み飛ばしていました(笑)。 ―――全部きちんと読むことが「いい読書」だと思っていました! これもひとつの読書の楽しみ方だと思います。そのときに、「おもしろい」と感じたのなら、「次はもっとていねいに読んでみよう」と2回、3回と読み返すかもしれません。そのとき、きっと新しい発見ができるでしょう。 つまらないと感じる部分をがまんして読むことは、読書体力がかなりついていればできるのですが、なかなか負担が大きいものです。まず、飛ばし読みをしてもOKであることを伝えてあげてください。 (取材・文/三宅智佳) 〇笹沼颯太(ささぬま・そうた)/Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る25歳。著書に『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
笹沼颯太