謎の黒砂ビーチ、約80mの滝…タヒチのアウトドア的観光スポット【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
ポリネシア人の知恵を教わる
さて駐車場への帰り道。ティーバがある葉っぱをもぎ取りました。アウティ(Auti)と呼ばれる植物で、悪さをする精霊から守る働きがあるとされているとのこと。使い方はいろいろあって…。 また家の周りにこのアウティの木を植えて魔除けにするのだとか。 ポリネシアの人たちは「マナ」というスピリッツ(精霊)を信じているそうです。「そのマナが悪さをするの?」と訊いたら「こちらの対応で味方にもなれば悪者にもなるんだよ」とのこと。このあたりは守護神にもなれば祟り神にもなる日本の神様に感覚が近いのかもしれないですね。 話は飛びますがタヒチは道で寝ている犬が多いです。 これじゃあ車にひかれる可能性も高いでしょう。「飼い主はそういうところで寝るなってしつけないの?」と訊くと「いや、ああいうのは捨て犬なんだよ」。観光業が好調なタヒチ。物価も当然上がります。仕事がある人たちはいいですが、ありつけない人たちの生活は苦しくなり、捨て犬も増えているのだそう。 捨て犬たちはそれで自暴自棄になって「車に引かれてもいいや」と道路でふて寝しているのかな? ちょっとしんみりしましたね、さすがに。
役立つ心臓「フトゥ」
さて海岸線に戻って次に訪れたのはブローホール(潮吹き穴)。岩の隙間から波が間欠泉のように不定期に噴き出る自然現象です。ところが…。 残念ですが予定通りに行かないのがアウトドア旅というもの。自然の力には困らされるけれど、力があるから自然は美しいのです。…はい、さっきのティーバの言葉をそのまま借用しました。「パクリ」ではなく「学習」です。笑 その潮吹き穴のそばで見せてもらったのが「フトゥ(Hutu)」という植物。 フトゥとは「心臓」の意味だそう。まさに心臓の形をしているからです。 そしてこのフトゥの実、伝統的な漁ではあれこれ使えて非常に役立ったのだそう。1つは釣りの浮き。非常に軽いので海水に浮くとのこと。2つめはどちらに流れるかで潮の向きを知る道具。3つめは中身を魚の餌にするとのこと。とはいえ毒性があって、サンゴ礁も殺してしまうので今では使用禁止らしいです。 一方カラダにいいこともあって、この実を水でゆでた液を布に浸して貼ると腰痛などに訊くとのこと。毒とクスリはある意味表裏一体なんですね。