【独占】2020年9月復帰を目指す総合格闘家の堀口恭司はリベンジ相手、朝倉海のTKO負けをどう思ったのか?
突然のキス。 「びっくりしましたよ。キスまですんなよって」 大晦日のさいたまスーパーアリーナ。堀口恭司(29、ATT)は、「RIZIN.20」の解説席にいた。 朝倉海(26、トライフォース赤坂)を右のカウンターの一撃で倒してパウンドのラッシュでTKOしたマネル・ケイプ(26、アンゴラ)は、リングをかけおりて、なんと堀口にキスをしたのだ。 俺がTKOしてやったぜ、なのか。 次は俺が相手だぜ、なのか。キスの意味は不明だ。 本来は、このリングには堀口が立っているはずだった。だが、練習中の怪我で昨年11月に右膝の前十字靭帯の大手術を受けることになり、朝倉海との再戦が流れ、急遽、代役出場となったケイプが、そのリベンジ相手を倒してしまったのだから、堀口は、さぞ複雑な心境だったに違いない……と小さな脳みそを使って想像していた。 だが、堀口は常識の物差しでは計れない格闘家だった。 新年を明けて、東京・八重洲のイタリアンレストランで会った堀口は、その仮説を笑い飛ばした。 「面白くなってきたじゃないですか。この展開の方が盛り上がるかなと。どうせ最後は僕がベルトを巻くんで。朝倉海に勝ってくれと願っていた? そんなのないっす(笑)。次に海君とやって終わりじゃストーリーとして面白くないでしょう」 朝倉海の敗戦は想定内だったという。 「試合前からケイプが勝つ可能性があると思っていました。ケイプのトリッキーな動きに対応できずに海君がパンチをもらうなと。もちろん海君のパンチが当たるとケイプもぐらっとなるでしょうが、パンチを当てるまでの動きがトリッキーすぎて読めないんじゃないかなと思っていました。結局、そこでやられちゃっていましたね。海君は、前回、ケイプとの試合を僅差で勝ったことで、今回追われる立場になった。そこで動きもガチガチになっていた。置かれた立場がメンタルに影響するってありますよね。僕はまったくないですが(笑)」 ケイプは、頻繁に左構え、右構えとスイッチしながら、予測不能の攻撃を仕掛けてきた。そのスタイルと、勝者の立場で再戦を受ける朝倉海のこの試合に挑むメンタルが影響することを堀口は予期していたのである。