【Q&A】ミャンマーの「クーデター」なぜ起きた?
Q:国軍は総選挙の結果が不満だったの?
国軍・USDPは、総選挙をめぐり「二重投票や大規模な不正があった」と主張し、選挙管理委員会に調査を繰り返し要求しました。選挙を無効とし再選挙に持ち込もうともしましたが達成できませんでした。 国軍報道官は事前にクーデターを排除しない姿勢も示しており、兆候が無かったわけではありません。クーデターが起きた2月1日は、総選挙後初めて議会が開かれる予定の日でした。
Q:なんでデモが起きているの?
クーデター後、軍への抗議、スー・チー氏の釈放、国内の民主化などを訴えるデモ行動に多くの市民が参加しています。これに対し、軍・警察など治安部隊は戒厳令などを出しデモの「抑圧」を続けています。武装した治安部隊の攻撃により死傷者も日増しに増えており、クーデターから2か月半で、700人以上(4月15日現在)が死亡したとも伝えられています。 また、国軍側は首都ネピドーや最大都市ヤンゴンなどでの集会を禁止しました。インターネットは断続的に遮断され、国軍に反対するメディアは活動が制限されています。 少数民族が多く存在するのもミャンマーの特徴です。それぞれの思惑が錯綜しており、例えば少数民族武装勢力「カレン民族同盟(KNU)」は国軍と交戦しています。
Q:国際社会の対応は?
米国、英国などはミャンマーの国軍幹部に対し、制裁を加えるなどしていますが、実質的な効果は見られません。 国連安全保障理事会でも、会合が重ねられましたがデモ参加者への暴力を「強く非難する」との報道向け談話を発表するにとどまっています。国軍制裁についても、中国やロシアと足並みがそろわず、実行に至っていません。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のミチェル・バチェレ高等弁務官は、泥沼と化した内戦が続くシリアを引き合いに出し、デモの抑圧が大規模な内戦に発展すると懸念を示しています。国軍には市民の「虐殺」を止めるよう求め、加盟国に対し、多数の死傷者が生じた「シリアのような過去の過ちを繰り返させてはいけない」と述べています。