『王様の耳はロバの耳』が意外すぎる展開を見せた!父の語る童話がネットリテラシーに繋がった瞬間
19歳年上の夫とふたりの子どもたちと暮らすイラストレーター、横峰沙弥香さん。最近、小学生の子どもたちの悩みに答える夫の発言に、数々の名言が散りばめられていることに気づいたそう。おなじみの童話の解釈も、どうやら一風変わっている様子です。 【漫画】「ブラボー!と叫ぶほかない」父がおなじみの童話を通してわが子にネットの恐ろしさを伝えた話
■そこに持ってく!?夫が子どもに聞かせる昔話が興味深い 夫が子どもたちに昔話を聞かせる際、あらすじ通りに話しているのを見たことがありません。最初は単なるおふざけだろうと思ってスルーしていたのですが、よくよく聞いてみるとそのアレンジの一つひとつが身近な、なにがしかの教訓に結びついて大人の私が聞いていてもおもしろい。
先日『王様の耳はロバの耳』をチョイスしていた夫。ただひとり、王様の耳の秘密を知っている理髪師が、絶対に誰にも聞かれないであろう場所でその秘密を吐露。結果、国中に王様の秘密が暴露されることとなってしまうあたりで、繊細なまめ(息子・9歳)の表情が曇ります。 口外することが許されていない話(=今回の場合、国家の重要機密事項)を漏洩させた下請け業社にどんな制裁が加わるか…9歳にも簡単にわかる状況の危うさ。
震えるまめに夫は続けます。
■驚愕!『王様の耳はロバの耳』がネットリテラシーに帰着 インターネットの海は恐ろしい。「ここなら誰も見ていないので吐き出させてください」から始まる投稿が燃え上がるさまを私も何度目にしたことか。それは悪行についてだったり懺悔だったり、身近な人間への嫌悪だったりとパターンはさまざまですが、それを誰に見られるかわからない場所に投下する危険性は火を見るより明らか。 なにより厄介なのは、誰にも知られないほうがいいことを口に出さずにいられないその気持ちです。夫は『王様の耳はロバの耳』を通じてこれからインターネット社会を生きていく息子に大切なことを教えようとしていたのです。
しかし、抱えていられないほど重い秘密を誰かに背負わせるのも罪なこと。背負わされた者は、自分の気持ちと相談者本人の気持ち、そして周囲の人間関係とを忖度しながら身も心も消耗していきます。気軽に秘密を打ち明けたり相談事を持ちかけることは、相手の気持ちを思えば避けることがベターかもしれません。 それでも耐えられずに誰かに頼るときには、相応の報酬を。王様お抱えの理髪師がどれほどの報酬を受け取っていたかは定かではありませんが。
PROFILE 横峰沙弥香さん よこみね・さやか。イラストレーター。長崎県出身、1984年生まれ。2015年、第一子誕生を機に、長男「まめ(愛称)」との日常を絵日記にしてインスタグラムに投稿を開始する。2017年に長女「ゆめこ(愛称)」が誕生。著書に『まめ日記』(かんき出版)、『まめ日和』(光文社)、『ちんちんぼうずのだいぼうけん』(KADOKAWA)、電子書籍『へたのよこずき1・2』(主婦と生活社) などがある。
横峰沙弥香