9試合未勝利のワースト記録更新ヴィッセル神戸は就任濃厚のロティーナ新監督で変わることができるのか
ましてやホームのノエビアスタジアム神戸にセレッソを迎える、10日の次節を終えた神戸はタイへ渡り、集中開催されるACLのグループステージに臨む。中2日で立て続けに6試合を戦う過密日程を乗り切るのが精いっぱいの神戸は、ただでさえ怪我人が続出して手薄な選手層が、さらに疲弊するリスクも背負っている。 過去にシーズン前半戦でACLを並行して戦った影響で心身をすり減らせ、J1リーグ戦でも低迷した末にJ2へ降格したチームとして2012シーズンのガンバ大阪、2014シーズンのセレッソ、そして2018シーズンの柏レイソルがあげられる。 この3チームがJ1リーグ戦の開幕から9試合を終えた時点の勝ち点は、ガンバが7、セレッソが12、柏が11だった。現時点で4と過去の3チームよりも下回り、さらにこれからACLを戦っていく点で、神戸はJ2降格への大きなリスクを抱えている。選手たちのメンタルに、これからの戦いで決して好ましくない影響を与えるだろう。 開幕から1分け4敗だった1999シーズンのクラブワースト記録を、大きく更新した泥沼で、優勝を至上命題に掲げるACLが近づいてきた。しかも、昨シーズンは一度もなかった連敗をこのタイミングで、ともに逆転という最悪の形で喫した。 それでもリュイス監督は「サッカーはいつも運が回ってくるわけではない。努力を続けていくしかない」と努めて前を向き、ファイティングポーズを取った。 「選手たちは自分たち自身を信じること。そして、怪我人が一刻も早く戻ってきて戦える状況にしていくこと。それだけしかないと思っている。選手たちにやる気があることは間違いない。京都戦でもこの試合でもその姿勢は見せてくれた」 ロシアプレミアリーグのロストフから3月下旬に加入し、1日に合流したばかりの元日本代表MF橋本拳人(28)を後半13分から投入したが、直前に森重に勝ち越しゴールを決められる状況も相まって、悪い流れを食い止める起爆剤にはならなかった。 ロティーナ新監督は早ければ、古巣セレッソとの次節から指揮を執るとも報じられている。しかし、再建へ向けた時間と与えられる現有戦力があまりにも限られ、そして開幕以来の低迷した日々で選手たちの自信も失われた。ヴェルディとセレッソで成功体験を持つ百戦錬磨の知将を、難度が極めて高い仕事が待っている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)