「三星毛糸」岩田社長が語る 尾州ウール復活かけた「ひつじサミット」~【Bizスクエア】
――「産業観光」というところ。世の中ではSDGsということもあり、産地に限らず「この物がどうやって作られてるのか」「どういう思想で人々が作っているのか」という製品のストーリーを消費者に理解してもらうということが大事な時代になっている。ひつじサミットもそういうことを目的にしているのか。 三星毛糸 岩田真吾社長: 「産業観光」を一つの目的にしているが、例えば農業で「私が育てました」みたいなシール貼っていると思うが、洋服も実は皆さんが(風呂に入る時間以外の)23時間、365日着ている、体に触れているものなので、いい素材のものとか、どんな人が作ってるのかと興味ある人は必ずいると思っている。 ただ工場側が開いてないと伝えることもできないので、今年のテーマを「心も工場もひらく」としているが、自分たちで機会を作っていくことはすごく大事だと思っている。トレーサビリティ(製品の生産から消費までの過程を追跡可能な状態にすること)という言葉がSDGsの中でもすごく重要視されているが、三星毛糸の顧客であるヨーロッパのラグジュアリーブランドも「どういう工場が作っているのか」昔は模倣されてしまうから絶対言ってはダメだった。しかし今は積極的に「こういうところでちゃんと作っています」と言ってくれるようになったので、そういう世界的なトレンドも後押しになっていると思う。 ひつじサミットはイベントとしてうまくいっているが、繊維産業の立たされている現実はなかなか厳しいものがある。国内の繊維製造品の出荷額。1991年がピークで14兆円を超えていたが、その後は中国や東南アジアからの輸入が拡大し、国内の出荷額は急減速した。近年は4兆円前後で推移している。 ――昔は日本で作った日本製のものをみんな着ていたが、今は輸入品もある。新しい素材もできた。昔であれば毛織物のスーツあるいはセーターを着るということが少なくなってきているような気もする。