狙いと課題は…カギは“強みと弱み”業界で進む“再編”ホンダ&日産が経営統合へ協議
統合が実を結ぶかはまだ分かりませんが、日産もホンダも、激動の時代を乗り切ってきた企業です。 100年以上も前に日本初の自動車を開発した日産。戦後、航空機を作ることを禁じられた日本の技術者たちが、エンジン開発に活路を見出し、その流れを汲んで生まれたのが、メーカーの代名詞ともなった『ターボエンジン』です。スカイラインやフェアレディZなど、時代を象徴する名車を数々世に送り出し、トヨタに匹敵するブランド力を誇りました。 ホンダも負けていません。1948年、浜松の小さな町工場として産声をあげた本田技研工業。当時は、日本中の工業が戦後復興という大きな波に乗ろうとしている時代。人とモノが大量に動くなかで、ホンダが開発した“誰もが簡単に乗れる自動二輪車”は、重要な移動手段として地位を確立します。 創業当時から“日本のものづくりは世界一になれる”と確信していたという本田宗一郎氏。ホンダが開発した国産エンジンをひっさげ、F1に殴り込みをかけたのが1964年。その翌年に日本メーカー初の勝利を掴んだ偉業は、まさに“世界のホンダ”と呼ばれるにふさわしいものでした。
創業者の“ものづくりの精神”を引き継ぎながら、近年、ホンダはある転換点を迎えました。それが、三部敏宏社長の就任です。ホンダが築いてきた独自路線を継承しつつ、EV事業を加速させ、GMとの提携や、ソニーとのEV共同開発など、他社との連携を推し進めました。 そんな三部体制だからこそ、ホンダと日産の歩み寄りが実現したのかもしれません。8月、両社が業務提携を結ぶことが発表されました。 日産自動車 内田誠社長(8月) 「文化の違う両社ではあるものの、課題認識はむしろ第一線の現場レベルに行くほど同じであることが分かった。そして互いをリスペクトしあう相互信頼の精神のもと検討を進めるなかで、両社が力を合わせるメリットが想定以上に大きいことも確認できた。両者の現場レベルがこの協業の可能性に大いに沸き立っていると思う。お互いの強みを生かして、1+1が2以上のシナジーを生み出せる協業分野を特定できたと思う」 ただ、今回の統合話は、両社ウィンウィンというわけにはいかない可能性も否定できません。日産の立て直しにはかなりの資金投入が必要となり、ホンダのデメリットも大きいという見立てもあります。事実、18日の両社の株価は、日産が一時ストップ高になったのに対し、ホンダは値を下げています。 自動車ジャーナリスト 佃義夫氏 「今回の統合がホンダ主導の統合になる流れはやむを得ない。早く日産が業績を回復して、ホンダとある意味対等な流れをこれからつくるのがベストな方向だとみている。スムーズにいく状況は果たしてというのは未知数」