なぜ渋野日向子はタイで好スタートを切れたのか…「今の調子としては凄く上出来なゴルフができた」
前述したようにアプローチによってカバーできるという感触があるから、セカンドショット以降もさえてくる。初日のパーオン率は18分の14、77.8%に達した。パーオンを逃した4つのホールでも、1番以外はすべてパーをセーブしている。 反省点をあげるとすれば最終18番(パー5、459ヤード)となる。グリーン手前に大きなガードバンカーが広がる名物ホールに対して、渋野も初日を前に「刻んでも難しいし、狙っても難しい感じなのでパーで上がれれば」と具体的な戦略を描けていなかった。 結果はセカンドショットをバンカーに入れ、リカバリーもグリーンエッジで止まり、バーディを狙ったパットもカップ左にそれた。パーこそセーブしたが、バンカー手前にしっかりとレイアップした上で、米ツアーのロングホールで確実にバーディを取るためにクラブセッティングまで変えた、アプローチでの勝負に持ち込むべきだった。 最終ホールでコースマネジメントという課題を突きつけられたものの、5つのバーディを奪った初日のラウンドを、最後をタイ語で「ありがとう」を意味する「コップンカー」で締め、笑顔を浮かべながら渋野はこう評価した。 「今の調子としては、凄く上出来なゴルフができたんじゃないのかなと思います」 アメリカツアーで思うような結果を出せない渋野は、3日に更新された世界ランキングで25位に後退。11位の畑岡に次ぐ日本勢の2位に24位の古江彩佳(20・富士通)が浮上し、出場枠が上位2人に与えられる東京五輪代表争いの圏外になった。 それでも、今回の渡米直後から「我が道を進むじゃないけど、焦る必要もないと思っています」と自らに言い聞かせるように語っていた渋野は、前週に続いて予選カットのない今大会の残り3日間で、オフから取り組んできたさまざまな改造をさらにハイレベルで融合させながら、自信回復へとつながる明確な結果を追い求めていく。