山下美夢有が米予選会でトップ合格「これは通過点」 米国で拠点探しへ
<LPGA Qシリーズ(最終予選) 最終日◇10日◇マグノリア・グローブGC(米アラバマ州)◇クロッシングズC=6664ヤード・パー72> 馬場咲希、バーディ締めで歓喜の涙…【写真】 世界ランキング14位の日本のエースが、その実力を存分に発揮した。米国女子ツアーの来季出場権をかけた予選会(Qシリーズ)で山下美夢有がトップ通過。トータル27アンダーをたたき出し、2位に6打差をつける圧倒的なパフォーマンスでツアーカードを獲得した。 最終ラウンドは3番のティショットから再開。3メートルにつけてバーディで滑り出すと、7番からはピンを刺すショットで3連続バーディを奪った。後半でも12番から再び3連続バーディを重ねるなど、勢いは止まらない。16番パー5では3打目を1メートルにつけ、この日8バーディ・ボギーなしの「64」。他を寄せ付けない強さで堂々のトップ通過を決めた。 「やっと終わった…という感じ(笑)。長かった…」という90ホール。悪天候により最終ラウンドが順延となり、6日間の長丁場になった。「いかにボギーを少なくして、チャンスでバーディを獲るかを考えていた。(目標としていた)ゴルフができた」と奪ったバーディは31個でボギーはわずか4つ。計算上、約3ホールに1個のバーディを奪う驚異的な安定感だった。 山下はこのフィールドで世界ランキング最上位だった。数々の実績を持ちながら、全員が同じスタートラインに立ち出場権を争うなか、“実力通り”の結果を見せつけた。日本勢のトップ通過は2017年の畑岡奈紗以来、5人目となった。「トップ通過できたのは本当にうれしい。25位以内に入ればオッケーだと思っていたけれど。毎日いいラウンドができたことが自信になった」。 海外メジャー優勝を目標に掲げながら、日本ツアーを主戦場にした今季。シーズン開幕前、米国進出への気持ちは「40%くらい」だったという。しかし、海外メジャーへのスポット参戦や「パリ五輪」に出場する中で、「さらにレベルアップしたたい。まだまだ強い選手もたくさんいるので、そのなかで勝ちたい」と気持ちが変化し、10月には予選会出場を明言。来季からは“ルーキー”として世界最高峰の舞台を転戦することになる。 米国拠点での生活にも前向きだ。「日本とは違って移動も大変で時差もある。1年間戦うにあたって(米国拠点は)大事だと思った。練習環境もすごくいいので、いまどのあたりに拠点を置くか考えています」。日本ツアーでも大会終了後には自宅に戻る“マイルール”を大切にしてきた。米国でも「帰るようにして、うまく切り替えることを大事にしたい」と語る。 「これは通過点。来年の1年目は緊張とかもあると思うけど、しっかり準備して、難しいコースを攻略したい。それがすごく楽しみ。いい成績や優勝を目指して頑張りたい」。満を持して、“小さな巨人”が新天地に打って出る。(文・笠井あかり)