能登地震でもやっぱり出た、根拠のない「人工地震」 デマはなぜ広がる? かつてはオウム真理教も「阪神大震災は地震兵器の攻撃」
「地震や津波を人工的に起こすのは技術的には十分可能で、国際政治、軍事上においては常識化されている」。質問に対し、浜田氏はこう答えている。 当時の答弁を、現在はどう考えているのだろうか。浜田氏にその疑問をただすと、こう述べた。 「人工地震は軍事目的で開発されたものであることは間違いない。太平洋戦争末期に米軍が日本攻略に向け原爆投下か人工地震かを検討し、前者を選択したことは米政府の文書にも明示されている」 地下構造調査で人工的に振動を発生させることはあるが、「軍事目的」の根拠は明らかではない。だが、浜田氏が答弁する映像はインターネットで拡散し、能登半島地震の際も出回っている。そこに責任は感じていないのだろうか。 「特に見解はない。不都合な真実を含め、多様な情報源から自らの判断で納得できる情報を選択することが大事だと思っている」 ▽「繰り返されるうわさ」 大きな地震が起きるたびに「人工地震」とうわさが広がることは、これまでも何度もあった。オウム真理教は、1995年の阪神大震災を「地震兵器による攻撃」と主張している。95年4月に刺殺された教団の村井秀夫・最高幹部が、攻撃をしているのは「大国だと思う」と語るニュース映像は、今も拡散し続けている。
しかし、そもそも、阪神大震災や能登半島地震のようなマグニチュード(M)7規模の大地震を、人工的に起こせるのだろうか。 名古屋大地震火山研究センター教授の山岡耕春氏は人工的に誘発するのは極めて困難だとの見方を示している。「地震は、地殻にたまっているひずみの解放によって発生する。巨大なひずみがある場所を正確に知るのが必要で、それは地震を予知できることを意味する」 地表や海底から10キロ以上の深さにある震源に核爆弾などを設置しようと計画すれば、巨大な施設と年単位の時間がかかる。そのため、秘密裏に行うのは「まず不可能」。さらに、地震と人工的な爆発による「人工振動」では波の出方が異なり、震源から離れた地点では明確に区別できるという。 「ありそうにないけれど、論理的には完全に否定できないことを組み合わせるのが陰謀論。なぜ信じるのかは分からないが、消えることもないだろう」 ▽関東大震災でも…