能登地震でもやっぱり出た、根拠のない「人工地震」 デマはなぜ広がる? かつてはオウム真理教も「阪神大震災は地震兵器の攻撃」
「ニュースが表ざたになると困る原因があると言うことが推測されます。陰謀論でも、嘘や噂でもなく、ほんとうに起こった出来事です。(中略)自分の頭で考えてみてはいかがでしょうか」 そこに北陸電力などの説明は、一切触れられていない。 ▽「人口削減」の世界観 能登半島地震の発生後、「人工地震」が原因とXに次々と投稿した人々がいる。そこにはこんな内容もあった。 「この先もパンデミック条約制定のために、あれこれ仕掛けてくる」 世界保健機関(WHO)で議論が進む「パンデミック条約」に、ワクチンの安全性への疑問から反対する人たちだ。 1月14日に東京都内で開かれたパンデミック条約反対のデモでは、人工地震の可能性をほのめかす参加者もいた。東京都日野市議で、反ワクチンを唱える「全国有志議員の会」代表の池田利恵氏は、地震発生直後から人工地震との見方を示した投稿を「メモ」としてリポスト(転載)し、一部には追認するようなコメントも付けている。
そこで池田氏にその意図を問うと、人工地震かどうかは「判断できない」との回答。リポストしたことについては「(メモ)以外の意味はない」としたが、人工地震の考えを否定することはなかった。 反ワクチン団体の動向に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏はこう指摘する。 「ワクチン反対と人工地震を訴える人たちは、闇の勢力による人類管理や人口削減といった計画が存在するという、共通の世界観がある」 反ワクチンの主張にはさまざまな陰謀論がパッチワークのように入り込んでおり、人工地震もそこに交ざり込んだと、藤倉氏は言う。 ただ、人工地震説を信じる根拠はどこにあるのだろうか。 よりどころの一つとなっているのが2011年7月、衆院東日本大震災復興特別委員会で、総務政務官を当時務めていた参議院議員、浜田和幸氏の答弁だ。浜田氏を巡っては、2004年のスマトラ沖地震は米国の「地震兵器」が引き起こした疑いがあると、学者時代に論文に記したことが問題視されていた。