80代夫婦と障がいを持つ息子の3人ぐらし「食べるのも作るのもとにかくシンプルに」すき焼き風煮物+魚のアラの吸い物など「一汁一菜」で
内閣府が発表した「高齢社会白書(令和3年版)」によると、65歳以上の者のいる世帯は日本の全世帯の49.4%。そのうち夫婦のみ世帯が一番多く約3割を占め、単独世帯を合わせると約6割が頼れる同居者のいない、高齢者のみの世帯となっています。 北九州の郊外で、夫と障がいを持つ息子の3人で暮らす多良久美子さん。8年前に娘をがんで亡くしています。頼れる子どもや孫はいないけれど、80代になった今、不安もなく毎日が楽しいと語る久美子さん。年をとり、食べるのも作るのもシンプルな、《一汁一菜》の食事にしていると話します。そんな久美子さんの作る《一汁一菜》メニューとは――。 【写真】「一汁一菜」の夕食 すき焼き風煮物と魚のアラの吸い物 * * * * * * * ◆食べるものも作るのもシンプルに 年をとり、夫婦共々食が細くなってきたので、食べるものも作るのもシンプルにしていきたいと思っています。 料理研究家の土井善晴さんの著書『一汁一菜でよいという提案』(グラフィック社)を読み、私の思いとぴったり重なりました。簡素でシンプル、そして何よりも縛りがない自由な食。でも、ちゃんと栄養は足りています。土井さんの提案を参考に、私なりの一汁一菜を考えています。 ◆[ 一汁 ] 一汁の基本は味噌汁。出汁には、和洋の縛りはありません。出汁昆布、いりこ、出汁パック、粉末鶏がらスープの素、固形のコンソメスープの素など、いろいろ使います。牛乳やバター、オリーブオイルを加えることも。自由な発想を土井さんから学びました。 具材も自由に、冷蔵庫にあるものを入れます。季節の野菜や豆腐、魚などのタンパク質を組み合わせて。3品以上入れると、ボリュームが出て、これだけで立派なおかずになります。 彩りに、小ねぎを最後に加えることが多いです。小口切りにして冷凍してあるので、いつでもサッと加えられます。夕食には必ず味噌汁などの汁物はつけます。
◆[ 一菜 ] そして一菜は、メインの1品。肉か魚を、野菜と一緒に煮たり炒めたりします。肉や魚を単品で調理し、野菜を付け合わせるパターンも。 味噌漬けにした肉を焼き、野菜のピクルスを添える、豚バラのチャーシュー風に千切りキャベツを合わせるといったように。いずれもごくシンプルな料理です。 これを1枚のお皿に、かっこよく盛り付けます。料理が簡素なので、器に助けてもらって。ワンプレートなのは、後片づけを楽にするためでもあります。 ◆《「一汁一菜」のバリエーション》 【一汁】 主に味噌汁の具材。冷蔵庫にあるものを組み合わせて ◎豆腐+きのこ+わかめ+小ねぎ ◎厚揚げ+なす+小ねぎ ◎厚揚げ+筍+わかめ ◎油揚げ+じゃがいも+玉ねぎ+にんじん+小ねぎ ◎卵+きのこ+長ねぎ ◎魚+ごぼう+ショウガか柚子(魚は臭みが出ないよう新鮮なもので) ◎豚バラ肉+こんにゃく+にんじん+里芋+ごぼう+きのこ ◎ベーコン(ウィンナー)+玉ねぎ+ミニトマト+コーン
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