岩谷翔吾『選択』で作家デビューへ!親友・横浜流星との絆から生まれた作品
――文章を生み出す、創作するという作業はいかがでしたか? 執筆はすごく孤独な作業ではあったんですが、今作に関しては流星と二人三脚で作り上げていったので、心強かったです。映像作品に例えてわかりやすく言うと、流星がこの作品の監督でありプロデューサーで、僕がそれを言語化する脚本家。流星は登場人物の芝居プランが明確に定まっていたんです。「亮は性格的にこういう言い方をするんじゃない?」「このシーンのこのセリフは感情が入れにくいかも」とか本当に細かなところまでビジョンが見えていて、流星の家でディスカッションをしながら僕がそれを書き足していくようなプロセスでした。元々、流星とは「面白いな」と思う作品が同じだったり、共有しあっていたので、流星の言いたいことのニュアンスがすごくよくわかる。だから書いていて楽しかったですし、『選択』はふたりの子どもみたいな感覚(笑)。 ――親友同士であるからこそ、そして、違うフィールドで挑戦し続けるおふたりだからこそ完成した特別な一冊ですよね。 実は、この先の展開も考えていて。小説で終わりではなく、この物語をここから先もいろんな人をワクワクさせるプロジェクトにできたらと思っています。本作は間違いなく小説ではあるんですが、気持ち的には小説というより“2時間の映画”だと思って作っていて。本作の根底には、僕も流星も「荒削りでもいいから、自分たちの若い感性を信念を持って貫きたい」という思いがある。今ってTikTokの30秒でさえも長くてスクロールする時代で、僕らもそういう世代で多感な時期を生きてきた。全体的にもっと情景描写を増やして丁寧に書くこともできたんですが、スピード感を持ったシーンとじっくりと描くシーンとを織り交ぜながら、自分たちが信じたものを世に出そうって思いを貫きました。 ――最後に、『選択』で伝えたいことはどんなことですか? 主人公・亮は断片的にみるとすごく悪いヤツ。でも一冊を通してみると、ただの悪人ではないことがわかっていただけると思うんです。これって今の社会の縮図ですよね。僕は芸能の世界にいるからより思うことなんですが、SNSである場面や一言だけが切り抜かれて、ウワサとしてはびこったり、匿名で責め立てたり…そんな世の中に僕は生きづらさを感じていて。自分で取捨選択することを作品のなかで掲示したかったんです。 また、人生は選択の連続で、今まで後悔をしたことがない人ってひとりもいないと思うんです。仕事や人間関係、みんな胸に抱えているものがありますよね。自分の選んだ道が間違っていたとしても、その選択の積み重ねが今のあなただから、自分を責めないでほしい、愛してあげてほしいって気持ちでこの作品を描きました。だから、孤独に感じている人、後悔を胸に抱えている人にも届けば嬉しいです。 岩谷さんと横浜さんの想いが乗せられた魂の一冊がここに完成。本を読まない人が増えた現代、あえて活字で思いっきり情熱をぶつけてくる衝撃作だ。ふたりが紡ぐ物語を手に取らない“選択”はないはず。