コロナ長期化で芸能人ギャラ事情さらに苦境 新しい考え方必要か
昭和から平成にかけて、とくにバブル期あたりまでは芸能界というと華やかで金銭的にも潤っているイメージが今よりはずっと強かった。実際には売れっ子と売れないクラスとの格差は昔から凄まじいものがあったし、たとえ一時的に売れてもそのままの状態で安定する芸能人はごくごく一握りではあった。過酷な業界だったことには何ら変わりはない。しかし生き馬の目を抜く競争社会で当たることを夢見る余地が広かったことは確かだろう。それが近年は「芸能人の貧困化」という言葉までメディアに登場する状況となり、その傾向はコロナ禍でさらに加速している。
有名タレントもギャラ交渉強気にできない時代
「ネット時代、ことにスマホでも手軽に視聴できるYouTubeなどの動画・配信サイトが急速に普及してからはテレビ番組の出演料なども下がり、タレント業は生き残りに必死という状況に陥りました。そこへ昨年からのコロナ禍が業界全体に襲いかかってきた感じです。番組予算は相変わらず削られる一方でスタジオトークの出演者などもソーシャルディスタンスに配慮し人数が削減されたりしています。タレントのトーク力も低下し番組も面白さに欠ける悪循環。有名タレントでもそんな状況でギャラ交渉に強気で臨んだら番組自体が存続する手段を模索するより躊躇なく打ち切りの方向へ向かう時代です」(スポーツ紙40代男性記者) タレントよりはもともとギャラが安い文化人枠の出演者からも「それでも以前はまだ良かった」との嘆き節が聞こえる。地上波のバラエティー番組などでたびたびコメンテーターやパネリストとして出演していたという作家は匿名を条件に明かす。 「先日番組の出演依頼があり話を進めていたらいつまでたってもギャラの話にならない。そういうことは以前からあったのでこちらから『ところで今回の出演料はどうなりますか』と聞いたんですよ。そうしたら担当者が『え?出演料いります?』とリアルにびっくりした様子で答える始末です。番組予算が削られる中で声をかけてもらえるだけでもありがたいと思わなくてはいけない状況なのかもしれませんが、こちらもスタッフを抱え仕事としてやっていることなのでやむなく出演はお断りしました。ノーギャラでテレビ番組に出ても宣伝になる時代でもありませんし」と、嘆きを通り越してもはや笑うしかなかったという。