これでF1のトラックリミット問題は解決する? レッドブルリンクで新たな対策が登場
F1オーストリアGPは昨年、1200件を超えるトラックリミット違反が発生したが、レッドブルリンクに導入された新しい縁石とグラベルトラップは、他のサーキットも含めてトラックリミット問題を解消するソリューションになるかもしれない。 【フォトギャラリー】2024年F1オーストリアGP:木曜日 木曜日、F1チームがオーストリアGP会場のいくつかのコーナーに導入されたこの解決策を初めて目にした。F1レースディレクターのニールス・ウィティヒは、F1がついに”完璧なセットアップ”を見つけたと示唆した。 レッドブルリンクでは特に、最終セクターのターン9とターン10でコースの外側にはみ出しやすく、前述のように昨年は監視のキャパシティを超えた数の違反が発生。レース後のペナルティが8人に出される異常事態となった。 そこでFIAの意見を受け、この問題を永久に解決することを目的とした一連の重要な修正が施された。 ドライバーのはみ出しを防止するために縁石の外側にグラベルを敷くという単純なものではなく、上の写真が示すように、FIAはドライバーがグラベルに突っ込まずにトラックリミットを乱用することができないようにすることを目的とした変更を行なったのだ。 さらにこれは、サーキットで今後バイクイベントを実施する際に、縁石の修正が容易にできるようになっている。 FIAはトラックリミットを再定義し、縁石の幅を変更した。他のF1サーキットではグラベルから白線までは2メートルが標準的だが、これが1.5メートルに変更されている。 今のF1マシンの全幅は2.0メートルであり、縁石外側のグラベルを踏まずにトラックリミット違反を犯すというケースは無くなるだろう。 なお、F2マシンは全幅1.9メートル、F3マシンも1.885メートルとなっているため同様だ。 縁石の幅を狭めるには、白線の位置を変更する必要がある。新たな白線は縁石の高い位置に描かれており、その手前は路面に溶け込むように黒く塗られている。 トラックリミットを乱用するドライバーをFIAが取り締まるためのもうひとつの重要な鍵が、ブルーラインの使用だ。 これはワイドに膨らんだマシンを映像で分析する際に、より視覚的にわかりやすくするために導入されたものだ。 これまではトラックリミットを定義する白線と、白く塗られていることも多い縁石との境界が明確化されていなかった。 オーストリアGPを前に、ウィティヒはこの解決策について非常に高く評価していると語った。 「我々はこれが完璧なセットアップだと思う」 「これまでのところ、ドライバーたちからのフィードバックはポジティブなものばかりだ」 「結局のところ、ドライバーが(トラックリミット違反によって)恩恵を受けているかどうかという議論に終止符が打たれるからだ。トラックリミットの問題は起きないと確信している」 レッドブルリンクの最終コーナーにこの縁石が導入されただけでなく、コースの他の場所でも同様の変更が行なわれている。 ターン4、6、8では白線が移動し、グラベルトラップまでの距離が1.8メートルとなっている。一方で飛び出すマシンが多いターン1とターン3では、飛び出したマシンのガイドとして背の高いソーセージ縁石が残されている。 ウィティヒは、レッドブルリンクで採用された解決策が他すべてのサーキットで、特にバイクレースも行なわれるサーキットで機能することを望んでいると語った。 「近い将来、これがバイクにとってもクルマにとっても良いものになることを願っている」 「これによって、サーキットはセットアップを維持しやすくなるはずだ」
Jonathan Noble