強迫症ってなに? 「手を洗い続ける、何かが心配で確認行動が止まらない」心理の正体
つらくなるのは、不安をゼロにしようと思うから
誰でも不安や不快をなるべく無くしたいと望むものです。しかし、実際は不安をまったくゼロにするのは不可能なことでもあります。不安をゼロにしようとするのは、たとえていうと「真っ白を目指して、白い道を歩いていくようなもの」です。 白い道はきれいで快適だと思うかもしれません。でも、白い道を進んでいると、ときおり「不安」というグレーの雨が降ってきます。真っ白な道にグレーの雨粒が降ってくると、すごく目立ちますから、気になって気になって仕方なくなります。 だから一生懸命きれいにしようとして、グレーの雨粒を拭こうとしますが、拭いても拭いてもグレーの雨は次々と降ってきます。いつまで経っても拭くのを止めることができなくなります。 せっかく白い道を気持ちよく歩き、好きなところに行こうとしていたのに、グレーの雨粒を拭くのに忙しくなり、その場で立ち止まり、どこにも行けなくなってしまうのです。
原因探しはやめておいたほうが良い
強迫症の平均発症時期は20歳前後ですが、児童期から発症することもあります。約25%は14歳までに発症し、生涯有病率は1~2%(50人に1人程度)です。男女比はほぼ同等ですが、男性のほうが早発傾向です。 強迫症は遺伝や環境、ストレスなど複合的な要素が組み合わさり発症すると考えられます。しかし、はっきりとした原因はわかっていません。 一卵性の双子のうちひとりが強迫症になった後、1年後にもうひとりも強迫症になったというケースもあり、遺伝的要素は否定できません。 完璧主義の方も多いのですが、完璧主義とはかけ離れている方にも見られます。そもそも強迫症状は多彩で、性格とは関係ないことも。 また、自分では性格と思って、何とか日常生活を送っている人もいます。徐々に生活をしにくくなることもあれば、急に病状が出現したり、悪化したりすることもあります。 不潔恐怖の患者さんで、発症前は野山で排泄をしてもまったく気になることはなかったのに、しばらく留守にし、家に帰ったところで大量の虫を見たことがきっかけとなり強迫症になった方もいます。