有名歌手が名曲を…増えるAIカバー 肖像権保護と必要なルールは?専門家「ラインをどこに引くかで、権利が守られ、新しいイノベーションが生まれるか。バランスが肝」
■「AI×声」の可能性
「AINOW」編集長のおざけん氏は「一歩進んで考えた時、声優さんの声をライセンス化して、AI生成できれば、現地の言語でアニメを見ることができる。また、例えば子どもがeラーニングみたいな講座を受ける時、好きな声優さんの声で受けることができるなど、ビジネスの広がりになるはずだ。日本のコンテンツ産業を海外に出していく戦略をとらないと、せっかくのIT大国なのにもったいない」との見方を示す。 一方で、ライセンス化が進めば「新人の声優さんのほうが危機なんじゃないかと思う」と話す。「これから声優になりたいという方がどの声で勝負しようとなった時に難しい。今ある程度人気があって、ライセンス化できる声優さんが声をあげているが、これから声優さんになりたい人はどこで仕事を見つければいいのか、どうやって人気を獲得していけばいいのかという問題になってしまうのではないか」。 カンニング竹山は、エンタメ側の視点から「バランスが取れてないなと思う。企業側は『こんな便利なことができるよ』、『こんなお金儲けができるよ』って開発していく。一方で、エンタメ側は権利で食べてるから、お金払いなさいってなる。そこをどう作っていくかやらないと、声優さんの問題はもっと広がる」との考えを述べた。 今後、どうやってルールを作っていくのか。深澤氏は「声優さん、クリエイターの方々、関連するAIサービスの方々、動画チャンネルをなさっている方々、そして法律学者、我々のような法律実務家が集まって、協議会、検討会みたいなもので議論して法率を作る。これまででてきた法律も概ねそうやってできている」と答えた。 著作権、権利については、ドラえもんを事例に出し「キャラクターに著作権はあるが、未来から来たロボットが少年を助けるというアイディアは、著作権が及ばない。ここまで保護をしてしまうと、新しい作品が出てこない。ラインをどこに引くかで、今の人の権利が守られ、新しいイノベーションが生まれるか。どっちが良い・悪いではなく、どこにバランスを持って行けばいいのかがまさに議論の肝だ」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部