仮想通貨サギの被害で孤立した女性の“てん末”「目覚め」を説く人気カウンセラーを信じ行き着いた果て
焦燥感からセミナー参加
こうしたスピリチュアル情報は、気持ちのあり方を模索するための手助けとして利用するには問題ないだろう。しかし、よりよい実践のために、有料セミナーへと誘導されるのがお約束である。 真希さんも、そのルートへと流れていった。沼である。 「目醒めのために、波動を上げる必要がある」とされ、そのための技術を学ぶセミナーに参加した。 「そのスピリチュアルカウンセラーA氏が主催するセミナーに、合計数百万円使いましたね。セミナーは1日5~10万円、3カ月集中講座的なものになると30万円くらいでした。家でも毎日波動ワークなるものを実践し、いまの世界から早く抜け出したいと思っていました」
ついに来た2021年…
2021年がタイムリミットと設定された、目醒めのセミナー。現在は2024年だが、受講者みな、無事(?)に、異世界転生のごとく、新しい自分を手に入れることができたのだろうか? 少なくとも真希さんは、できなかった。 「後出しジャンケンのように、“二度寝がある”と言い出したんです。一度目醒めても、また眠る可能性がある。実は目醒めは2038年が本番で、2021年からの4年間が勝負である。これから新しい地球のオーディションがはじまる、2025年に津波が来る。そんな感じの情報が、どんどん追加されていきました。2021年の扉が閉じたら再選択はできないといっていたのに……」 セミナーとは無関係の筆者でも、「なんじゃそりゃー!」と叫びたくなる。真希さんも、矛盾した話にすっかり気持ちが冷めた。
ビリーバーから、アンチへ
「何のことはない。投資詐欺と同じだったんです。投資詐欺の『この通貨の値が上がる』『いま通貨を持っておかないと絶対に損をする』という営業トークを、『目醒めのゲートが閉じる』『目醒めを選択しないと地獄にいく』と言い換えただけと、理解しました。そうなると類似のスピリチュアルコンテンツ発信者全員が詐欺師に見え、いまはもう嫌悪感しかありません」 ビリーバーが転じてアンチになるというパターンは、当連載でもたびたび紹介しているが、真希さんもまた同様の展開となったのだった。