水上恒司「プロセスを踏んで、力が抜けている大人は魅力的です」
若手俳優として着実にキャリアを積む水上恒司さんが作家・平野啓一郎さんの同名小説を映画化した『本心』に出演しています。格差が拡大し、AI技術が急速に進化した2025年を舞台に、鬼才・石井裕也監督が、時代の変化に彷徨う人間の心と本質を描く本作。撮影に参加した水上さんの「本心」とは? PEOPLE NOW
話題作に続々と出演する注目の俳優・水上恒司さん。公開中の映画『本心』(原作/平野啓一郎・監督/石井裕也)では、主人公・朔也(池松壮亮)の幼馴染である岸谷を演じます。AI技術が急速に進化した2025年を舞台に、時代の変化に彷徨う人間の心と本質を描く注目作品で、水上さんはどう役に向き合うのか。本作の話とともに、水上さん流の処世術、カッコいい大人像などを伺いました。
処世術? 態度で示す信頼の得方もあると思います
── 話題作に次々と出演されている水上さん。演じるということ以外で意識している処世術のようなものはありますか? 水上恒司さん(以下、水上) 俳優業というのは、若いうちからチヤホヤされがちです。チヤホヤする方も深く考えずにそうしている部分があると思います。でも、それに対して自分自身を律していないと簡単に転げ落ちる。自分自身を俯瞰して、自戒の念を持たないといけないという意識はあります。自分の態度で示す信頼の得方もあると思うんです。 ── 25歳にしてその気づきがあるなんて、達観されていますね! 水上 僕は簡単に調子に乗る子どもだったので(笑)、生意気な部分を持っていましたから。でも、礼儀やマナーは違う。気づきというよりも「大人になったらこういう人にはなりたくない」「こういう人になりたい」といった理想の大人像が明確にあったからだと思います。
── キャリアを重ねることも理想の大人像のひとつでしょうか? 水上 そうですね。経験と実績を積んで露出を増やせば増やすほど、チヤホヤされる機会が多くなりますし、注目度がないと生き残ることができない世界だとは思います。今まさに注目していただいていることは実力を映し出しているのかもしれない。でも、若さゆえの可能性もある。だからこそ、30・40代の時にも俳優として生き残れるような生き方を意識しなければならないですよね。 ── では、ライフステージとしてその年代になったらどんな人になりたいか理想像はありますか? 水上 この業界的には30歳はまだ若手。だからこそ、その30代で自分の方向性や武器みたいなものが見据えられたらいいな、と思っています。それをどう活用していけばいいのかまで明確にできたら。さらに40代では、それをより濃く熟成できたらいいですね。 ── その先の将来も見通しされていますか? 水上 求めていただけるのであれば、俳優業はずっとやり続けていきたいですね。