J2新潟社長の引責辞任で問われる棚上げ状態のJ1仙台責任問題
直接的な文言こそ用いられていないものの、Jリーグからは長期にわたって報告を怠った是永前社長らの判断が実質的な隠蔽と見なされたことになる。そして、Jリーグから科される懲罰を前にして辞意を固めた是永前社長の胸中を、中野社長は記者会見でこう慮っている。 「Jリーグの沙汰が大きい、小さいということではなく、Jリーグの沙汰が出るタイミングで、ということで本人なりに時期を図っていたと私なりに感じています」 千葉県出身の是永前社長は携帯電話向けサッカー情報サイトの編集長、アルビレックス新潟シンガポールの代表取締役などをへて2018年9月に新潟の専務取締役に、翌2019年1月には代表取締役社長に就任。クラブ愛にあふれる舵取りにサポーターから寄せられる信頼も厚かったが、ファビオとマンジーをめぐる判断に関しては、辞任に際して新潟から発表されたコメント通りのミスを犯してしまった。 「今回の件では判断と対応を大きく間違えました。結果、クラブの価値を毀損してしまう事態となりました。(中略)世の中をこれほどお騒がせしてしまっていること、そしていま最も必要であるクラブの速やかな信頼回復のためには、自分はここから離れるべきだと考えました」 新潟の一件とほぼ時を同じくして、J1のベガルタ仙台でも不祥事が発覚している。交際していた女性に暴力行為や暴言を繰り返し、9月7日には傷害容疑で宮城県警に逮捕されていたと10月20日発売の写真週刊誌『フラッシュ』で報じられたMF道渕諒平(26)との契約解除はサッカー界に衝撃を与えた。しかも、道渕も不祥事が報じられる直前まで明治安田生命J1リーグ戦に出場していた。 契約解除後に仙台市内で記者会見した菊池秀逸・代表取締役社長らの経営陣は、道渕の代理人弁護士から逮捕状が執行されたが、数時間後に釈放されたという連絡を受けながら、逮捕された事実に関しては「確認が取れていない」と不可解な答弁に終始。道渕と女性との間で示談が成立していたことから、同じ行為を繰り返さない旨の誓約書を提出させた上で公式戦に復帰させたと説明している。