J1仙台が”道渕問題”で緊急募金を停止…経営危機に拍車
“DV事件“で道渕諒平(26)を電撃解雇した問題は、存続危機に陥っていたJ1ベガルタ仙台の経営をも直撃した。混迷状態に陥っているベガルタ仙台は22日、新型コロナウイルス禍で直面している経営危機を乗り切るために先月下旬から実施していた「クラブ緊急募金」を中断すると発表した。 クラブの公式ウェブサイト上に「ベガルタ仙台 クラブ緊急募金の中断について」と題したリリースを掲載。そのなかで交際していた女性への暴言や暴行を写真週刊誌「フラッシュ」に報じられた道渕との契約を20日に解除した一件に関連づける形で、募金を中断した理由をこう説明している。 「この度の当クラブ選手の不祥事につきましては誠に申し訳なく、ご支援いただきました皆様に心からお詫びを申し上げます。今回の事態を真摯に受け止め深く反省の意をお示しいたしたく、9月26日よりスタートいたしましたクラブ緊急募金の募集を中断することといたしましたのでお知らせします」 新型コロナウイルスの影響を受けて、2月の開幕直後から長期中断を強いられた今シーズンは、6月末の再開後もリモートマッチと命名された無観客試合や入場者数の制限が課されてきた。収入の二本柱を成す入場料とスポンサー収入が激減する状況に、J3までを含めた各クラブは直面している。 ベガルタも例外ではなく、今年度予算で6億8700万円を計上していた入場料収入が1億5000万円に、12億7500万円のスポンサー収入が9億8400万円に、現時点でそれぞれ大幅に下方修正。当期純利益で6億6400万円の赤字を見込まざるをえないと、ウェブサイト上で報告している。
一方でベガルタの純資産は前期末で3億5600万円だった。見込み通りならば損失が純資産を上回る債務超過状態に陥るのは避けられず、しかも超過額は3億800万円に達する。ウェブサイト上では債務超過解消への道筋はまだ見通せていない、偽らざる現状も明らかにされている。 Jリーグでは3期連続の単年度赤字を計上するか、あるいは単年度で債務超過に陥ったクラブはライセンスをはく奪され、リーグからの退会を余儀なくされる。今年度は新型コロナウイルスの影響が認められた場合には例外的な措置が取られることが決まっているものの、来年度も同じ経営状態が続けば、ベガルタは経営危機どころかクラブそのものの存続危機に直面することになる。 こうした状況で実施されたのが、クラブの未来を憂慮するファン・サポーターやステークホルダーの善意に頼る「クラブ緊急募金」だった。ベガルタを運営する株式会社ベガルタ仙台の菊池秀逸代表取締役社長は「コロナ禍が経営に影響し、クラブそのものの存続危機に直面しております」と、募金を呼びかけるメッセージを公式ウェブサイトやユーチューブの公式チャンネルでこう発信していた。 「さまざまな営業努力、経費削減に努めておりますが(中略)債務超過は避けられない見通しで、近い将来にJリーグのクラブライセンスがはく奪される可能性が出てきております。よって、このたびクラブ緊急募金を実施することといたしました。皆様のご厚意でクラブを救っていただきたいと思っております。仙台、宮城のシンボルとなり、スポーツ文化の振興、青少年の健全育成、地域の活性化の実現のため、存続していきたいと決意を新たに前進してまいります」 来年1月16日を期限に協力を呼びかけていた緊急募金には、クラウドファンディング(寄付型)、口座振り込み、本拠地のユアテックスタジアム仙台周辺および街頭における募金と3つの窓口があり、今月6日の時点で1512万3936円が集まっていることが報告されている。