「生産せずに売り上げを作る」 エレン・マッカーサー財団の新たな構想
ジーンズでプロダクトデザイン改革に成功を収めた企業は、現在その他の商品カテゴリーへも同様に循環型のプロダクトデザインを広げている。
プロダクトを循環型にリデザインした次はプロダクト自体を「生産しない」ことで事業収益を上げ、企業として継続していけるかを試す時である。
地球には最終成果を待っている時間がない
デイビッド氏は「今後5年間は特に業界全体で一度作った製品を使い続けるためのシステムチェンジを加速することが非常に緊急度が高く重要な時期となる」と指摘する。
「ファッション・リモデル」プロジェクトへの参加企業は、プロジェクト期間中に実施した施策や財務状況を随時報告しなければならない。それによって得られた示唆や変化の兆し、方向性を、結果を待たずにEMFではファッション産業を超えた企業、政策立案者や投資家へも随時共有していくという。それによって行動を喚起し、加速させることを目指す。
コペンハーゲンのサステナブルブランドである「ガニー(GANNI)」の共同創業者であるニコライ・レフストラップ(Nicolaj Reffstrup)の言葉を借りると「完璧を目指すよりも行動を起こすこと(Action over perfection)」が今最も重要であろう。地球が一度限界を超えたら戻れないティッピングポイントに到達するのが、もしかすると明日かもしれないからだ。
今のペースでファッション産業が経済活動を行っていくと、2030年までに気候変動を1.5度以内に抑えるために課せられた温室効果ガス排出量の約2倍も排出してしまうことになる。
デイビッド氏はこうも伝える。「気候変動への目標を達成し、将来も繁栄していくファッション産業を創造するために、私たちは衣服のデザイン、製造、そして楽しみ方を根本的に急速に変革する必要がある。ファッションには循環型経済が必須なのだ」。