新聞・テレビはいつまで「偽りの中立」を続けるのか…「報道の自由」を自ら手放したマスコミの末路
■犯罪性や悪質性が隠されてしまった けれども、日本のメディアではいつ頃からか、この「汚職」という言葉が使われなくなりました。その代わりに、新聞やテレビの政治報道記者が、何かの協定でも結んだかのように横並びで使い始めた言葉があります。 それが「政治とカネ」です。 この「政治とカネ」という言葉には、「汚職」という言葉が持っていた、公益を害するという問題の悪質さを示す明瞭な「意味」が含まれていません。聞けば聞くほど、意味不明に思える漠然とした言葉です。 例えば、日本語の「汚職」に対応する英語は「corruption」という、贈収賄などの地位や職権を悪用した不正行為を指す言葉ですが、最近のメディアが使う「政治とカネ」をそのまま英語に訳しても、「politics and money」で、外国人が見ても「corruption」と同種の犯罪性や悪質性を読み取ることはないでしょう。 つまり、日本のメディアで常態化した「政治とカネ」という言葉は、地位や職権を悪用した不正行為の犯罪性や悪質性を消し去る効果を持つ、欺瞞(ぎまん)的な印象操作なのです。 ■「報道の自由度ランキング」は低空飛行 2012年に自民党の第二次安倍政権が始まってから、日本社会にはさまざまな変化が生じましたが、その中でも特に重要と考えられるのは、政治報道の現場から「ジャーナリズム」が消え、政府発表をそのまま伝達拡散する「政府広報」のような「ニュース」ばかりが、政治報道の体裁をとってなされるようになったことです。 フランスに拠点を置く国際的なジャーナリズムの組織「国境なき記者団(RSF)」が毎年発表する「報道の自由度ランキング(プレス・フリーダム・インデックス)」と呼ばれる格付けで、「報道の自由度」における日本の順位が、第二次安倍政権以降の自民党政権下でずっと下位に低迷している事実からも、そのことがわかります。 この格付けは、同組織に所属するジャーナリストたちが各国の政治的条件や経済状況、法的枠組み、社会文化、安全性の五項目を総合的に評価して、国ごとの順位を国際社会に提示しているものです。 2002年に初めて「報道の自由度ランキング」が公表された時、日本(第一次小泉内閣)の順位は、26位でした。しかし、22年後の2024年の同ランキングにおける日本の順位は70位で、2023年は68位、2022年は71位でした。