なぜ神戸のイニエスタは142日ぶりの復帰ゲームで勝利貢献できたのか?
「あれだけの大きなけがを乗り越えて復帰するには、生半可な覚悟ではたどりつけない。そこをアンドレスは必死に努力をして、チームのために、という強い思いで復帰してくれた。間違いなく出場時間が少しずつ増えていって、彼のベストのパフォーマンスになっていくと思います」 終盤でイニエスタを途中出場させる青写真を描いていた三浦監督は、点差を含めて理想的な状況となった展開に表情を綻ばせた。スコアこそ3-0から動かせなかったものの、落ち着いたボールさばきを随所で見せた「8番」は「これで終わりではない」と前を見すえた。 「ひとつの目標は達成できたが、ここからできるだけ多くの試合でプレーするという、自分の本当の目標へ向けた挑戦が始まる。コンディションが何パーセントと、具体的な数字をあげるのは難しい。チームメイトたちと比べると、まだまだ上げていかないといけない。チームにより貢献できるように、これから練習と試合を重ねていきたい」 広島戦が終わってしばらくして、イニエスタはピッチに入る瞬間の動画とスペイン語と日本語の両方でこんなコメントを添えた上で、インスタグラムを新たに更新している。 「数ヶ月が経ち、最高に気持ちが昂りました。15歳の頃に戻ったような、幸せな緊張感でした!ハードワークを継続するのみ!みなさん、愛をありがとう」 9日の次節は開幕戦で川崎フロンターレに敗れた後に7勝3分けと無敗に転じ、4位につける横浜F・マリノスのホーム・日産スタジアムへ乗り込む。対する神戸も名古屋グランパスに屈した第4節以降で4勝4分けと負けないチームへ変貌を遂げ、頼れる大黒柱も復帰した。 マリノスとの勝ち点差はわずか1ポイント。川崎、名古屋、サガン鳥栖の上位3強への挑戦権をかけた直接対決は、役者も勢ぞろいしたなかで白熱の攻防が繰り広げられそうだ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)