【選手権】MF近藤七音がV弾!正智深谷が8大会ぶりに選手権勝利!
第103回全国高校サッカー選手権大会第2日は12月29日、首都圏8会場で1回戦の残り15試合が行われ、NACK5スタジアムでの第1試合は8年ぶり4度目出場の正智深谷(埼玉)が長崎総科大附(長崎)を2-1で下し、12月31日の2回戦で東福岡(福岡)と対戦することになった。 【フォトギャラリー】正智深谷vs長崎総科大附 埼玉県予選ではジョーカー的存在で起用されてきたMF白岩龍(3年)が右2列目で先発。小島時和監督は「予選は延長まであるが、本戦は80分で終わるので攻撃に力のある選手を長く使いたかった」と説明。白岩は精力的にボールを引き出し、フィジカルと空中戦の強さを生かしてリズムを生み出した。 正智深谷は先制するまでやや劣勢に立たされ、失点してもおかしくない危機が3度あった。 前半4分の左MF斉藤巧志(3年)のヘディングシュート、12分のFW坂本錠(3年)の中距離弾とFW松下昊稀(3年)が放ったヘッド。25分にMF宇土尊琉(3年)に打たれた一撃などは、いずれも際どいシュートばかりだった。 そんなピンチを切り抜けていた前半37分、右CKから先制した。“左足の魔術師”左SB鹿倉颯太(3年)がニアサイドに好球を送ると、左MF小西聖七(3年)がヘッドで完ぺきに合わせて先制した。 NACK5スタジアムで行われた聖望学園との埼玉予選準々決勝でも、鹿倉の右CKから決勝点を挙げている小西は、「このスタジアムは相性がいいですね」と破顔一笑すると、「練習でもやっている形から取れて良かった。鹿倉は本当にいいボールを送ってくれるんです。うれしい」と笑顔が絶えなかった。 小島監督も「うちはセットプレーが得意だし、時間も前半の終わりだったから入るのならここだな、って直感したんですよ。根拠は全然ありませんが」と言って笑わせた。 ところがいい時間帯に先制したというのに、最も悪い時間に失点してしまう。追加タイムに入って20秒あまりだった。宇土がゴール前に入れたボールをCB佐藤飛友(3年)が先んじたが、クリアがやや小さくなり、MF高橋駿介(3年)に同点ゴールを決められた。 ハーフタイムのドレッシングルームでは選手同士が意見をぶつけ合ったそうだ。主将のボランチ大和田悠(3年)は、「嫌な時間に追い付かれましたが、ムードは悪くありませんでした。これからどう戦うか、みんなの考えをすり合わせて後半に臨んだんです。いい出来だったと思う」と胸を張った。 決勝点は13分に生まれた。鹿倉がズドンという勢いのある縦パスをボランチの吉田匠吾(3年)に打ち込む。吉田から中央やや右のMF近藤七音(3年)が横パスを預かると、強烈なシュートがGKの手を弾いてネットを揺すった。 両チームともこれ以降は大きなチャンスもピンチもなく、2-1のまま時間が経過。4分の追加タイムも消化しタイムアップを迎えた。 正智深谷はこれで、埼玉予選3回戦から5試合続けて1点差の勝利。8大会ぶりに選手権勝利を挙げた小島監督は「ベンチは気が気じゃなかったですが、粘り強くうちらしい試合を見せられた」と持ち味を出し切った内容が誇らしげだ。 前回出場時は初のベスト8に進出したが、今回は難敵ぞろいのブロックに入った。しかし大和田は「初戦は難しいと監督から聞いていましたが、強いチームに勝って自信になった。強豪ばかりだからこそ、うちのサッカーでどんどんチャレンジしてみたい」と主将らしい言葉で締めくくった。 (文=河野正 写真=矢島公彦)