秋の夜聞こえる「リーリーリーリー…」スズムシではない?あの鳴き声の正体はアオマツムシ
秋の夜に公園などを散歩していると、樹上からスズムシのような鳴き声が聞こえてくることがあります。他の虫の声をかき消すほどの大音量なので、ずっと聞いていると耳鳴りがしてくるほどです。いったいどんな虫なのでしょうか。 【写真】聞き分けられる?秋の虫の鳴き声一覧 * * * * * * * ◆樹上で鳴くのは何の虫? この時期、夜になると樹上から聞こえ始める「リーリーリーリー」という虫の声。他の秋の虫に比べるとかなり声が大きいため、うるさく感じる人もいるかもしれません。 この鳴き声の正体は「アオマツムシ」です。中国原産とされる外来種で、日本には輸入した木などに混ざって明治時代ごろにやってきたといわれています。 アオマツムシは8月の終わりから10月ごろにかけてよく見られ、樹木だけでなく建物にも集まります。地域によっては家の外壁やマンションの通路などに大量発生し、ちょっとした騒ぎになることもあるようです。 分布は今のところ本州・四国・九州に限られ、北海道・沖縄には生息していません。 また、東北でもあまり見られないとされてきましたが、近年は温暖化のためか生息域が北上していて、現在では青森県でも生息が確認されています。
◆スズムシやマツムシとの違いは? アオマツムシは高い声で「リーリーリーリー」と鳴くためか、似た鳴き方をするスズムシとしばしば間違われます。 ただ、本物のスズムシは草むらや河川敷などに生息し、木には登りません。声量もアオマツムシより控えめで、「リーンリーン」と鳴くことから判別ができます。 また、日本には外来種のアオマツムシとは別に、在来種の「マツムシ」という虫もいます。有名な童謡「虫のこえ」にも登場するので、知っている人も多いのではないでしょうか。 この歌の中で、マツムシの鳴き声は「チンチロ チンチロ チンチロリン」と表現されていますが、実際には「ピッピリリリ」と鳴きます。また、アオマツムシが緑色なのに対し、マツムシは茶色です。 スズムシもマツムシも、今では野生で見かけるのが困難なほど希少な存在となりました。今後は秋の虫の代表として、アオマツムシが定着していくのかもしれません。
「婦人公論.jp」編集部