沖縄の伝統食はなぜ長寿の秘訣なのか、地中海食と並ぶ世界の双璧 本来はどんな料理?
食に対する姿勢も利点に
沖縄食の利点は、沖縄の人々の食に対する姿勢からももたらされる。 沖縄の人々は「腹八分」を大切にしている。「これはほんとうに良い考え方です」と、アユーブ氏はいう。「今は80%程度の満腹感を感じているとしても、15~20分後には100%の満腹感を覚えることがあるからです」。脳が満腹を認識するのにそれだけの時間がかかるためだ。 腹八分の習慣は、食べ過ぎを防ぐだけでなく、自然な形での緩やかなカロリー制限を可能にし、体重の管理や、消化、代謝の健康を助ける。また、植物を基本とした食事は、カロリーが低い一方、栄養価が高く、量が多いため、満腹感と体重コントロールに貢献すると、ウィルコックス氏は言う。 伝統的に「沖縄の人々は細身で、これはつまり健康であるということです」と、カッツ氏は言う。 ここ数十年の間に、沖縄の伝統的な食生活は、西洋の影響を受けた食事に取って代わられてきた。こうした傾向が始まるきっかけは、第二次世界大戦中に米軍が「スパム」などのポークランチョンミートを持ち込んだことかもしれない。缶詰めのポークは、チャンプルーなどの地元料理に取り入れられた。 この時期以降、沖縄でも白米や卵が一般に使われるようになり、ファストフード店がまたたく間に数を増やした。当然ながら、近年では沖縄でも肥満や高血圧の割合が上昇している。 もし伝統的な沖縄の食事に回帰すれば、沖縄の人も、それ以外の土地に住む人々も、健康面で大きな恩恵を受けるだろうと専門家は言う。それはまた、地球にも恩恵をもたらす。 「最近では、食事や健康に関して議論をする際には、持続可能性と地球の健康についても考慮する必要があります」とカッツ氏は言う。「沖縄の人々は何世代にもわたってこうした食事を続けてきました。沖縄食は持続可能な食事なのです」
文=Stacey Colino/訳=北村京子